2021 Fiscal Year Annual Research Report
Annotations and studies of the Heian period waka prefaces
Project/Area Number |
18K12293
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山本 真由子 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (00784901)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 序 / 詩序 / 菅原文時 / 源順 / 本朝文粋 / 江談抄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、平安朝の和歌序を注釈し、その特質と意義とを明らかにすることである。本研究では、平安朝の和歌序、すなわち和歌制作の背景となる状況を文章とした作品をあつかっている。和歌序は、それだけで独立して鑑賞し得る作品である。和歌序は、漢文と和文(仮名文)の作品が残る。それらは内容から、書序(一書の序)、宴集の序、定数歌の序に区分される。 当該年度は、『本朝文粋』に、和歌真名序1篇、詩序6篇の作品が残る、菅原文時(899-981)の序の特質を、文時と同時代に活動した源順(911-983)の序と比較して考察した。併せて、文時に関する話が多い『江談抄』などの説話集における序についての記述を収集し分析を進めた。 従来の研究では、文時が詩句を題とする「句題詩」の規則を案出したことと関わって、平安後期の詩序の形式までも創始したと推定されてきた。しかし、『本朝文粋』に収められた順の詩序17篇を見てゆくと、天暦7年(953)以前の学生の時の作品から、「句題詩」の規則に従って、詩題に関わる段を為すものがある。『江談抄』には文時と順との作品の贈答が記される。平安後期に典型となる詩序の形式は、作者間の交流の中で形成された可能性があると考えられる。 これらの研究の成果は、第65回国際東方学者会議SymposiumⅡ「平安朝漢文学における散文の諸相」(2021年5月15日)に於いて「菅原文時の詩序と和歌序」として口頭発表し、論文「菅原文時と源順―『本朝文粋』巻十「花光水上浮」詩序を中心に―」(『文学史研究』62号、2022年3月)にまとめた。
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Research Products
(2 results)