2020 Fiscal Year Annual Research Report
Haikai poetry in the Early Modern Pleasure Quarters and Theatre Districts -Kikaku and the Edoza Haikai Cicle
Project/Area Number |
18K12297
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
稲葉 有祐 和光大学, 表現学部, 准教授 (90649534)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 宝井其角 / 江戸座俳諧 / 市川団十郎 / 新吉原遊廓 / 歌舞伎 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度はコロナ禍により各地への調査が不可能となり、発表予定であった講演会が中止となるなど困難を極めたが、国会図書館や国文学研究資料館の再開後に調査を行いつつ、それまでに蓄積し得た資料・知見を整理・検討することで、学会発表・論文化を行い、研究の主要な目的を達成することが出来た。具体的には、前年度に行った口頭発表を論文としてまとめ、遊廓における俳諧の実態、機能的な側面、説話的な側面等から報告した。この成果によって、遊女達の俳諧や、其角ら江戸俳人達の活動、遊廓の描かれ方についても詳細が明らかになった。 また、2020年度早稲田大学国文学会秋季大会において口頭発表を行い、初代市川団十郎ら元禄期の代表的な役者と其角とが、江戸の歌舞伎・俳諧の祖師としてセットになって象徴化されていたことを指摘した。同発表で、其角が役柄を題として句作する方法を考案し、役者との交流とも相俟って、門流がそれを発展させたことを述べ、さらに絵俳書・一代記の流行を受けつつ、初代沢村宗十郎が得意とした芝居を題として諸家が句を詠むという追善の絵俳書『師の恩』(天明8年刊)の企画へと繋がっていったことを論じた。この発表は、並行して行っていた役者達の参加する連句の注釈における成果も取り込んだものである。この口頭発表については、『国文学研究』194集(2021年6月刊行予定)において論文化する予定である。加えて、2019年度に行った口頭発表について、特に遊興とも通ずる「興」と不易流行という理念に焦点化し、『日本文学研究ジャーナル』18号(2021年6月刊行予定)において論文化する予定である。 以上、昨年度までの成果を合わせ、本研究によって、近世中期における悪所の俳諧の特質と具体とが明らかになり、今後に繋がる一つのモデルを提供し得たと考えている。
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Research Products
(7 results)