2019 Fiscal Year Research-status Report
戦間期文学の〈複合ジャンル性〉に関する研究―散文詩と〈歌詞テクスト〉を中心に―
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18K12302
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Research Institution | Hijiyama University |
Principal Investigator |
小林 洋介 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (00757297)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歌詞 / カチューシャの唄 / 島村抱月 / 相馬御風 / 七五調 |
Outline of Annual Research Achievements |
・The Text of First Modern Popular Song: “Katyusha no Uta” and Seven-and-five Syllable Meter, The 3rd EAJS (European Association for Japanese Studies) Japan Conference(ヨーロッパ日本研究協会第3回日本会議), 2019年9月15日、筑波大学、発表言語:英語
日本近代における七五調歌詞の歴史が4分の4拍子との強いつながりの中で進展したことを概観した上で、島村抱月・相馬御風作詞「カチューシャの唄」が、そうした七五調歌詞の歴史を継承しつつも、「ララ」の2音によって新境地を開拓したことを論じた。 それまでの日本語歌詞テクストは詩と未分化であったが、特に意味を持たない「ララ」の2音が挿入されることで、「カチューシャの唄」は純粋に歌詞として成立したことになる。「神に願いを ララ かけましょか」というその歌詞は、「神に願いをかけましょか」という七五調の音律を破壊しているが、それでもなお七七調の音律を維持しており、その意味において、伝統の継承と伝統の破壊を同時に実現していると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
戦前・戦中の歌詞テクストについて引き続き研究している。特にNHKラジオ番組「国民歌謡」で放送された歌曲に関し、NHK放送博物館での第1回の調査を2020年2月に行ったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い同博物館が休館になったことから、第2回以降の調査を実施できていない。また、その調査の結果は昭和文学会第66回研究集会(当初予定2020年5月16日)で発表する予定であったが、同研究集会も新型コロナウイルス感染拡大に伴い中止され、発表の場を失った。現在、代替の発表手段を探している。
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Strategy for Future Research Activity |
昭和文学会第66回研究集会で発表する予定だった内容は、同学会が2020年後半に開催を模索している別の研究集会での発表を目指している。ただし今後の調査は、NHK放送博物館の再開の見通しが立たないこと、東京への出張を自粛せざるをえないことなど、新型コロナウイルス感染拡大や緊急事態宣言等の情況に左右されることになる。 2020年度中に本研究の集大成となる論文を執筆し、学会誌に応募することを目指す。
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Causes of Carryover |
・2018年度終了時点で、2019年度中に海外開催の国際学会で口頭発表を行うことを予定していた。しかし、国際学会 European Association for Japanese Studies(ヨーロッパ日本研究協会)の2019年度会議の会場が日本であり、かつ、同学会への出張旅費は別の研究費から支出したため、2019年度の旅費支出が予定額より大幅に少なくなった。
・申請時に購入する予定であった物品、特に『文藝時評体系』の購入が遅れている。ただし、次年度使用額のすべてを充ててもその全巻を購入するには不足である。そこで、購入すべき巻を厳選し、2020年度の早い段階で購入することとする。
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Research Products
(1 results)