2019 Fiscal Year Research-status Report
明治期における華族と御歌所の文化圏形成に関する研究
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18K12303
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Research Institution | Oita Prefectual College of Arts and Culture |
Principal Investigator |
長福 香菜 大分県立芸術文化短期大学, その他部局等, 講師 (90634949)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 華族 / 御歌所 / 正風社 / 興風会 / 向陽会 / 文化圏 / 近世和歌 / 近代短歌 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は2018年度におこなった学会発表の内容を論考化し公表するとともに、引き続き華族と御歌所による和歌活動に関する資料調査・収集をおこなった。併せて、「正風社」の実態、人的ネットワークの構築と文化圏形成の実態を解明すべく、特に以下の資料整理や分析、検証に着手した。 (1)福羽美静文庫『明治四年正月御歌会留』(学習院大学図書館蔵)は明治6年「四月十日正風社歌会」と「明治七年四月十日於橋場村慶永亭正風社歌会」の記録を収める。明治7年の歌会は福井県立図書館寄託松平文庫所蔵「明治七年四月十日於橋場村慶永亭正風社歌会」と同日の歌会記録であることを確認している。 (2)陸奥国弘前津軽家文書『正風社歌会始1~12』(国文学研究資料館蔵)は明治10年から同43年までの正風社歌会を収める。従来の調査では明治10年までの歌会記録が多く確認できたが、明治11年以降の資料は乏しかったため、この資料によって「正風社」の和歌活動が明治末年頃まで継続していたことが裏付けられる。明治初年と末年では歌会参加者の顔ぶれも異なるが、華族が中心となって構成されている点は同じと言える。 (3)『御歌所寄人阪正臣氏談話速記』(巻菱湖記念時代館蔵、以下『談話速記』と略す)の調査をおこない、正臣の自筆によると思われる加筆・修正の書き入れが数カ所確認できた。宮内庁宮内公文書館に『御歌所寄人阪正臣氏談話速記原稿』1点(A)と、Aに施された加筆・修正を反映した『御歌所寄人阪正臣談話速記』2点(B・C)が所蔵されるが、そのB・Cに書き入れをおこなったものが『談話速記』であると考えられる。明治天皇の御製の他、東京華族による「興風会」や京都華族による「向陽会」、「正風社」に関する記述などが見られることから、当時の宮中歌壇を知る上で重要な資料である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた資料調査・収集が遅れたことにより、それに伴うデータ整理や検証が進まなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
収集した資料の整理や検証に注力しながら「正風社」の実態を明らかにするとともに、華族と御歌所による人的ネットワークのもとで展開されてきた和歌活動を通して、彼らによる文化圏がいかに形成されていたのか、その解明に努めたい。
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Research Products
(3 results)