2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12304
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
玉田 沙織 豊田工業高等専門学校, 一般学科, 准教授 (60707389)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日本文学 / 古典 / 受容 / 和歌注釈 / 契沖 |
Outline of Annual Research Achievements |
近世初期を生きた古典学者である契沖(1640-1701)は博覧強記で知られ、「新注」とも呼ばれるその注釈的考察は、前代とは一線を劃する質量の文献に支えられている。本研究では、課程博士論文・若手研究B「和歌注釈における民俗学的手法の基礎研究」(H26-28)・国文学研究資料館共同研究「読書行為としての『書入れ』の研究:契沖を軸に」(H26-28)の成果を踏まえ、古典研究の大家の代表として特に契沖を取り上げ、その和歌注釈のあり方を追究している。契沖による研究成果は広く知られ、活用されているが、手法や態度の総合的な追究は、岩波書店『契沖全集』(1973-76刊)以後は数が少ない。本来、成果の活用は、それが記された文脈や意図といった注釈のあり方が判明した上で行うものである。本研究では、契沖が使用した文献の性質や特徴的な術語・言い回しの具体相について、和歌作品への注釈に特化して事例収集を行うことで、契沖の研究成果の再評価および分析論理の再確認をする。 当該年度では、(1)事例収集・入力:契沖の初期和歌注釈作品およびその関連資料の原本複写を取り寄せ、翻字作業をした上で鍵語の選定および事例収集を進めて、エクセルファイルで整理を行った。(2)原本調査の準備と資料収集:国文学研究資料館に出張して、周辺資料のマイクロフィルムの確認や関連する先行研究の収集を行った。貴重資料が多く原本調査が叶わないものも多かったため、出張先は一個所のみとなった。データベース作成の第一段階と今後の方向性の確認を終えた形である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では、予定していた作品の資料収集および翻字、術語の事例収集と出張を終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、収集した事例の分析を行うとともに、対象とする和歌注釈の範囲を広げる。今年度の結果を踏まえて、対象時期を広げて作品を増やし、データベース化作業をさらに進める。必要に応じて原本所蔵先への調査も行う。
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Research Products
(1 results)