2020 Fiscal Year Research-status Report
鵜鷺系歌学書の検討を軸とした秘伝的歌学書・歌学知の生成と展開に関する研究
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18K12305
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
舘野 文昭 国文学研究資料館, その他部局等, 特定研究員 (50815339)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 和歌 / 歌学書 / 諸本 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画では、京都市・名古屋市・広島市・福岡市・仙台市ほか全国各地へ出張し、鵜鷺系歌学書(『愚見抄』『愚秘抄』『三五記』『桐火桶』など)やその他の歌学書の現存諸本について書誌学的調査を行い、得られた結果を基盤として研究を遂行する予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の流行のため、当該年度に予定していた全ての調査出張を断念することとなり、本研究課題の核となる研究を一切進めることができなかった。結果として、メインテーマに関する研究実績は、前年度までに調査した伝本の整理と翻刻を進めるに留まり、研究論文を執筆するに至っていない。 以下、副次的テーマについての研究実績を述べる。 ・前年度より取り組んでいる、和歌作者の身分が作品の表現をどのように規定するのか、という問題について、室町期の歌学書を中心とする諸テクストを調査し、さらに考察を加え、得られた結果を研究論文「身分と表現の問題をめぐる中世歌学史― 歌学書・歌合判詞の言説から」(『和歌文学研究』120号、6月)として公表した。 ・これまで行ってきた中世の歌学に関する研究をまとめ、単著『中世「歌学知」の史的展開』(花鳥社、2月)を刊行することができた。 ・歌論歌学書や和歌作品の注釈作業を進めた。注釈を進めるために必要な注釈書や研究書を購入し、それを利用して遂行したが、やはり新型コロナウイルス感染症の流行の影響のため十分な調べ物を行うことが出来ず、まだ成果を公表できる段階には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行により、本研究課題の柱である古典籍資料の原本調査を行うことが出来なかった。さらに、紙焼き資料・活字テキスト・研究論文等の収集も滞ることとなった。結果として、当初予定していた研究計画はほぼ進めることが出来ず、単著を出版することが出来たという成果を差し引いても、進捗状況は「遅れている」と判断せざるを得ない状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに行えなかった歌学書諸本の原本調査を可能であれば実施したいと考えているが、現実的には2021年度も新型コロナウイルス感染症流行の収束は見込めないものと想定される。そのため、まずは和歌作品・歌論歌学書の注釈作業と既調査・既収集資料の翻刻を中心に研究を遂行したいと考えている。出張のための予算は、必要に応じてテクスト注釈のために必要な図書の購入に充てたい。 新型コロナウイルスの流行が収束した場合は、出張を伴う古典籍資料の原本調査を再開したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、予定していた出張を全て見送ったことによる。可能であれば、次年度に改めて出張を実施したいと考えているが、新型コロナの状況の改善が見込めない場合は、図書購入費・複写費・データベース利用料に繰り越し分の助成金を使用する。
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Research Products
(2 results)