2021 Fiscal Year Research-status Report
鵜鷺系歌学書の検討を軸とした秘伝的歌学書・歌学知の生成と展開に関する研究
Project/Area Number |
18K12305
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
舘野 文昭 国文学研究資料館, 古典籍共同研究事業センター, プロジェクト研究員 (50815339)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 和歌 / 歌学 / 中世文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
鵜鷺系歌学書と呼ばれる定家仮託歌学書を中心とする、歌論歌学書の諸本の本文について、調査・研究を行った。ただし、前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の流行のため、調査出張を基本的に実施せず、国文学研究資料館所蔵の紙焼き写真及び、新日本古典籍総合データベースを始めとする諸データベースを使用して、本文の調査を行った(この過程で、天理大学附属天理図書館、国立国会図書館の所蔵資料の紙焼き写真の複写を行っている)。しかしながら、感染防止に重点を置いたため十分な調査を実施することは出来ず、今年度も研究成果を報告し得るだけの成果をあげるには至っていない。 副次的な研究については、『古今著聞集』草木編所載の第六六三話「順徳院御時侍従宰相定家大蔵卿為長をして菊花を詠ぜしめ給ふ事」について、和歌・歌学面から考察を加え、当該説話を順徳天皇内裏の詩歌壇の一面を示す史料として位置づけた。その研究成果は、6月にオンラインで開催された第四三二回慶應義塾大学国文学研究会において「説話から歌学知を探る―『古今著聞集』草木部・第六六三話試論―」という題で研究発表を行い、その後3月刊行の『国文学研究資料館紀要』(文学研究篇第48号)において「十月の比の菊――『古今著聞集』「草木」部第六六三話試論」と題して研究論文を公表した。 その他、未注釈の歌論歌学書や中世和歌の注釈作業も同時並行的に行ったものの、まだ成果をまとめるには至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の流行状況にあったため、極力外出を控える方針をとって研究を遂行した。そのため、当初予定していた原本調査を実施することが出来なかった。そのため、メインテーマでの研究成果を公表出来ておらず、副次的な研究成果を公表することが出来た分を差し引いても、「遅れている」と評価せざるを得ない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍で行えなかった調査出張を2022年度に行い、主たる研究テーマの遅れを取り戻したいと考えてはいるが、同年度も依然として新型コロナウイルス感染症の流行は続くと想定される。そのため、今後も2021年度と同様、感染状況に応じて臨機応変に副次的なテーマの研究を中心的に進めたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、今年度の調査出張を中止したため、旅費の支出がなかった。また研究の遅れに伴い、古典籍資料の紙焼き写真複写や図書購入も当初の予定より若干少なくなったため、次年度に繰り越すべき金額が生じてしまった。 次年度使用額分は主として古典籍原本の調査出張旅費、古典籍の紙焼き写真複写費用、影印本を中心とする図書購入費に当てたいと考えている。
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Research Products
(2 results)