2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K12307
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Research Institution | Morioka College |
Principal Investigator |
紅林 健志 盛岡大学, 文学部, 准教授 (10817654)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 仮作軍記 / 近世小説 / 軍記 |
Outline of Annual Research Achievements |
第4年度にあたる本年は次のような成果を得た。 仮作軍記と後期読本の関係について考察した。具体的には畠山泰全『大友真鳥実記』(元文2年〈1737〉刊)と好華堂野亭『大伴金道忠孝図会』(嘉永2年〈1849〉初編刊、同3年後編刊)の比較を行った。『大伴金道忠孝図会』は全体の構成は『大友真鳥実記』に依拠しているが、文章表現は『大友真鳥実記』に大幅な加筆を行ったものであった。特に心情描写が詳細になっている点や、評というかたちで語り手が詳細に説明していた部分が登場人物の言動などに書き改められている点が注目された。 この問題について考えるため、軍記の文体と後期読本の文体を心情表現のあり方から比較分析した。結果、次のような見通しを得た。軍記の文体が第三者の視点から把握可能な心情のみを描く傾向があるのに対し、読本の文体は登場人物の内面を直接説明する傾向がある。そのため、軍記そのままの心情描写では、読本の読者には通用しないであろう。後期読本の素材として仮作軍記が使われるにあたって大幅な加筆が行われた理由の一つは上記の軍記と読本の文体の違いにもとめられる。 また翻刻作業についても進捗があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルスによる感染症拡大防止対策のため、他県への移動や、資料の閲覧に制限があったため、文献調査が思うように行えなかった。これまではコロナウィルスによる感染症流行以前に集めた資料や、デジタル公開されている資料をもとに考察をすすめてきたが、やはり文献調査ができず進まなかった問題が残ってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
仮作軍記の成立背景および、内容、さらに文学史への影響について、ここ数年行うことができなかった文献調査を実施して不足していた部分を補い、全体をまとめたい。また、翻刻を含む報告書を完成させる。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスによる感染症拡大で十分な文献調査が行えなかったため、本年は使用を控え、次年度にまとめて使用することとした。 次年度は、文献調査の旅費および関連資料の購入。報告書作成のために使用する予定である。
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Research Products
(1 results)