2018 Fiscal Year Research-status Report
運用実態にもとづいた山陰方言におけるノダ文の記述的研究
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18K12398
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
野間 純平 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 講師 (30780986)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 山陰方言 / ノダ文 / モダリティ / 疑問表現 / 命令表現 / 談話 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、年度当初の計画を踏まえて、以下のことを行った。 (1)過去の調査データの整理・文字化 研究代表者がこれまでに山陰地域にて行った方言調査の録音データを文字化する作業を行った。この文字化資料は、本研究の主対象であるノダ文(山陰方言では主に「述語+ダ」の形で現れる)を分析するための基礎データとなるものである。本研究においてフィールドとしているのは、島根県出雲市、川本町、隠岐の島町および鳥取県倉吉市であり、そのうち川本町と倉吉市のデータの文字化を優先的に行った。この作業は現在も継続中であり、本研究の主な対象である「ダ」の用例を拾う作業も並行して行っている。 (2)ノダ文に関する面接調査 本研究で用いる主なデータは、調査協力者が調査中や会話の中で自然に発した発話であり、質問票にもとづく面接調査のデータは補助的なものと位置づけている。しかし、本研究の目的を果たすうえで、面接調査がまだ不十分であることが判明したため、特に疑問表現と命令表現における「ダ」のふるまいを明らかにすることを目的に、面接調査を行った。特に出雲方言では、他の山陰方言に比べて、疑問や命令といった表現における「ダ」のふるまいに特徴があるのではないかという見立てのもと、現在も面接調査を行っている。また、疑問や命令といった表現は自然談話には現れにくいので、それを補うために行っているという理由もある。この面接調査の成果は、2019年度に口頭発表などの形で公表することを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
談話調査を中心に行うのが当初の予定だったが、それを一部変更して面接調査を行った。しかし、この面接調査は談話調査を補うものと位置づけており、全体の進捗状況としてはおおむね計画どおりと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている談話資料の文字化と面接調査を並行して行う。文字化はテープ起こし業者への依頼も利用しつつ、4地点の談話文字化資料をできるだけ2019年度内に揃えることを目標とする。また、面接調査では、疑問表現におけるノダ文の性質を記述し、その成果を発表する。その際、出雲方言の研究を行う他の研究者をはじめとした研究者との議論を踏まえて、記述を精密にしていく。
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Causes of Carryover |
これまでの調査で得られた談話データの文字化作業にかかる経費(テープ起こし業者への委託)として確保していたが、研究の計画を変更して面接調査を優先して行ったため、その分を次年度に回すこととした。面接調査を行うことによって談話データが増えるため、それも含めて文字化を業者に依頼することを想定しての措置である。次年度では、本来次年度で使うことを予定していた額とあわせて、この次年度使用額を談話データ文字化にあてる。
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Research Products
(4 results)