2022 Fiscal Year Research-status Report
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18K12494
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
武井 紀子 日本大学, 文理学部, 教授 (30736905)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本史 / 古代史 / 律令制 / 日唐律令比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、大蔵・内蔵について前年度発表した口頭報告の成稿に取り組んだ。古代日本において、クラは純粋な物資の集積施設ではなく、各地の豪族から集めた神宝や武器を収納した施設であり、神威が示される施設であったことを指摘した。そして、古代の租税制は、そうしたクラの神威性を前提として、各地から集めた貢納物を収納することに意味があったことを明らかにした。この成果はまだ公表に至っておらず、早期の公表に努めたい。 また、実際の地方官衙における財政運用のありかたを具体的に明らかにするために、多賀城をはじめ東北地方の城柵官衙施設における官衙内での運営の仕組みや城柵への物流のあり方について、関連資料を収集し、検討を進めた。その史料調査の一環として、近年出土した山王遺跡出土の具注暦木簡についての知見を多賀城市埋蔵文化財調査センターの報告書に掲載した。 さらに、東北への軍事物資供給の基地となっていた坂東諸国の国郡財政について、8世紀から大規模な征夷が終息した後の9世紀にかけて、① 文献史料、② 出土文字資料の双方を用いて、検討を加えた。古代国家の東北政策と坂東諸国の国郡財政との関係については、かつて一国単位での財政融通という観点から論文を発表したことがあったが、今回はより具体的に、①については主に9世紀初頭における俘囚移配政策について、また②は栃木県下野国府跡木簡や茨城県鹿の子C遺跡出土漆紙文書などを取り上げ、在地における財政運用や生産体制を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献を通じた資料収集、およびそれを用いた考察は概ね順調に進められている。財政施設としてのクラの性格に言及できたのは今年度の大きな進捗の一つである。しかし、研究の進捗に合わせ、海外研究者との意見交換や史料調査、翻訳論文の掲載の打ち合わせのため中国への海外出張を予定していたが、昨年度に引き続き、今年度も新型コロナの影響により実施できなかった。また、国内においても、上記成果をまとめて論文として公表するまでに至らなかったため、やや遅れていると見なさざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究全体の総括として、論文・著書の執筆・公刊を目指す。また、これまでの研究を踏まえ、以下の点を集中的に執り行う。 ① 現在、日唐比較の側面から財政関連の律令条文の検討を行っているが、天聖令施行時の宋代のあり方まで含めて、その規定内容を検討する必要を認めた。今後は、そうした前後の時代のあり方にまで目配りして、研究を進めていきたい。 ② 近年、韓国で出土している木簡の情報を再収集する。 ③ さらに、日本の国郡財政に関わる各地の出土文字資料については、可能な限り継続して調査に出向きたい。
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Causes of Carryover |
海外出張費等のために繰り越していた分が、新型コロナウィルスの影響で今年度も使用できなかった。翌年度については、海外研究者との打ち合わせ・意見交換をメールやオンライン上などの手段に切り替えて行うこととし、海外出張費としてではなく、国内調査や論文発表のための用途として使用する計画である。さらに、コロナ禍のために学会がオンラインでの参加となり、これまで国内出張費が抑えられていたが、次第に対面実施に戻っている。このような学会の状況をふまえ、次年度は、実施が遅れていた分の国内資料の調査(関西地域・北陸地域など)や学会発表を行い、研究総括の公表のために用いる計画である。
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Research Products
(1 results)