2020 Fiscal Year Research-status Report
近代日本の「経済大国化」に関する基礎的研究―大正期を中心に―
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18K12500
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
久保田 裕次 国士舘大学, 文学部, 講師 (70747477)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 経済大国 / 大正 / 新四国借款団 / 辛亥革命 / 商社 |
Outline of Annual Research Achievements |
主に、国内での史料収集と学会報告・論文執筆を中心に研究を進めた。 まず国内での史料収集については、以下の三点を中心として行った。第一に、近代日本の「経済大国化」を考えるうえで重要な政治家である野田卯太郎の史料の収集を行った。九州歴史資料館、柳川古文書館、九州大学附属図書館記録資料館が所蔵する野田の書簡や日記の閲覧・複写を行った。第二に、近代日本の「経済大国化」を石炭産業の発展から支えた、北九州の実業家・麻生太吉に関する歴史資料を九州大学附属図書館記録資料館で閲覧・複写した。北九州という地方や地方を基盤とする実業家が、石炭産業の発展にどのような役割を果たし、中国大陸とどのような関係を構築しようとしていたのかを明らかにすることにつながると考えている。第三に、近代日本の「経済大国化」の先頭に立った商社、なかでも最も重要な三井物産に関する史料調査を行った。具体的には、横浜市史資料室が所蔵する三井物産在米支店関係資料の閲覧・複写を行った。収集した史料によって、商社が北米でどのように経済活動を行っていたのかが明らかになるものと考える。 次に、学会報告・論文執筆については、主に以下の三点である。第一に、調査で収集した三井物産関連史料の分析をもとに、在外日本企業史料研究会で、戦前期の三井物産サンフランシスコ支店に関する組織論を中心とする報告を行った。第二に、辛亥革命期の日本海軍と南進との関係に関する報告を行った。第三に、これまでに収集した史料をもとに、新四国借款団に関する論文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
近代日本の「経済大国化」に対する諸外国の動向などを検討するために、アメリカ(National Archives and Record Administrationなど)、台湾(中央研究院近代史研究所など)での史料調査を計画していた。しかし、新型コロナウイルスの感染状況の拡大のため、海外で調査を行うことができず、十分に史料調査を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、国内での史料調査と論文の執筆を中心に行う。 まず、国内での史料調査については、引き続き野田卯太郎、麻生太吉、三井物産に関する史料の閲覧を行う。一方、「井上馨関係文書」や「阪谷芳郎関係文書」など国立国会図書館憲政資料室に所蔵されている日本近代の政治家に関する史料の調査を並行して進め、近代日本の「経済大国化」に関する政治史的な側面を多角的に検討する。 次に、論文の執筆については、以下の二点が中心となる。第一に、これまでも関連論文を執筆してきた新四国借款団に関し、本研究課題における国内外での史料調査の成果を踏まえ、さらにいくつかの論文を執筆する。第二に、同じく国内外での調査の成果を踏まえ、「経済大国化」の先頭に立った三井物産に関する論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大のため、海外での史料調査が行えなくなり、旅費の支出が激減したため。今後も海外での調査が困難であることが予想されるので、書籍などの物品費や国内旅費などとして使用する計画である。
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Research Products
(4 results)