2018 Fiscal Year Research-status Report
A structural study on Japan's diplomatic policy toward Choson in the Edo period
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18K12503
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
古川 祐貴 島根県立大学, 北東アジア地域研究センター, 客員研究員 (00784860)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 江戸幕府 / 対朝鮮外交 / 朝鮮通信使 / 徳川将軍国書・別幅 / 朝鮮御用老中 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、江戸幕府が朝鮮王朝に対して行った朝鮮外交(「形式的な外交」)、および対馬藩が担った「実務的な外交」・朝鮮貿易=朝鮮通交(外交・貿易)の実態解明を通じて、近世日本における対朝鮮外交の実態を構造的に明らかにしようとするものである。具体的には3つの課題を設定して目的を達成しようとするものであり、平成30年度(1年目)は、江戸幕府が朝鮮王朝に対して行った朝鮮外交(「形式的な外交」)とはいったいどのようなものであったのか、についての検討を行った。 幕府の対朝鮮外交に関する従来の研究は、朝鮮貿易や漂流民などを切り口とするものが多く、真正面から取り上げたものはほとんど存在しない。そのため本研究では、幕府が朝鮮と対峙するもののうち、(1)朝鮮通信使に対する対応、(2)朝鮮国王宛て徳川将軍国書・別幅、(3)朝鮮御用老中の3つの観点から考察を行った。平成30年(2018)9~10月には、東京大学史料編纂所に保管されている対馬宗家文書(「宗家史料」)のほか、近藤重蔵関係資料のうち徳川将軍国書・別幅関連、小杉美二郎氏所蔵文書(影写本)などの調査・撮影を行った。また、平成31年(2019)1~2月には、韓国・國史編纂委員会において、同委員会が所蔵する対馬宗家文書(「對馬島宗家文書」)のうち、特に「朝鮮通信使記録」を中心とした史料の調査・撮影を、研究協力者(長崎市長崎学研究所・藤本健太郎学芸員)に依頼して実施した。 本年度の成果としては、古川祐貴「徳川将軍の外交印――朝鮮国王宛て徳川将軍国書・別幅から――」(松方冬子編『国書がむすぶ外交』東京大学出版会、2019年1月)、古川祐貴・岡本真・松方冬子「日本-朝鮮・西欧・台湾鄭氏往復外交文書表――16世紀末~19世紀初頭における――」(『東京大学史料編纂所研究紀要』29、2019年3月)を発表し、(2)に関する調査・研究を終えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予想以上の本務の増加により、本研究のエフォート率が下がったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度(2年目)は、前年度と同じような本務の増加は見込めないため、当初の予定通り研究計画を遂行する。2年目に取り組む課題の中には、すでに史料収集を終えているものも存在しており、その分、早い段階での史料分析、論文執筆に着手できそうである。また、こうして生まれた時間的な余裕を利用して、1年目に取り組み得なかった課題の解消にも努めていきたい。
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Causes of Carryover |
本務の増加により出張を減らさざるを得なかったことから、次年度使用額が生じることとなった。本年度は当初の計画に加え、短期的な出張も盛り込みたいと考えており、研究の遅れをカバーできるよう努めたい。
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Research Products
(2 results)