2021 Fiscal Year Annual Research Report
A study of the relationships between medicine and international exchanges in East Asia during the 7th to 12th centurie
Project/Area Number |
18K12504
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Research Institution | Sapporo International University |
Principal Investigator |
篠崎 敦史 札幌国際大学, 人文学部, 講師 (90786899)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 日本古代史 / 東アジア / グローバルヒストリー / 対外交流史 / 医療史 / 日宋貿易 / 延喜式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、7~12世紀の東アジアにおいて、中国医学がいかなる形で日本を含む諸地域を結びつけていたか、その外交・交流機能について明らかにすることを目的とした。 本研究の成果は、①中国医学が東アジア王権間の外交で生じる問題、文化的摩擦を緩和させる機能を持っていたこと、②中国医学が各地の王権の権威を荘厳化するとともに、国内の儀礼・官司運営・対外遣使などの広範囲とかかわり、そこでは東アジアの薬材が多く必要とされていたことを構造的に解明したことに求められる。 研究の社会的意義については、これまでの外交・経済(交易)・宗教交流や医療史などの研究とは異なる視点から、医学の持つ交流機能を明らかにした事実が挙げられる。このような点は、今後の研究に寄与するものと思われる。このほか、本研究は医学を軸にして日本と東アジア広域の交流について分析を行ったため、日本史のみならず、東洋史や医学史などの隣接分野に接続する基礎作業としての社会的意義も持つものと考える。 一方、感染症の影響で、かなりの期間、史料収集、図書館・研究機関利用などに支障が出た。そのため、当初予定していた史料・事例分析が十分に行えなかった部分がある。これらについてはある程度の史料収集を行っていることから、状況が改善され次第、成果を公表することで対応していく。 以上を主とする本研究期間における調査・分析によって、従来、あまり注目されることのなかった中国医学が東アジア諸地域を結びつける機能を持っていたことを具体化するとともに、これら医療関係史料の分析を通じて、既往の歴史像とは異なる東アジア交流の実像に迫ることに成功したと結論づける。
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