2022 Fiscal Year Annual Research Report
Trans-Pacific Social Movement Network from the Perspective of Personal History
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18K12507
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
上原 こずえ 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60650330)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 開発 / 囲い込み / 蓄積 / 抵抗運動 / 福祉労働者 / 社会開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は第一に、経済開発に抗う1970-80年代の集合行為と同時代にあった「ゆうなの会」や「ゆうな学園闘争」に焦点を当て、当事者への聞き取りと資料の考察を通じて「開発」が広く及ぼしてきた問題を明らかにした。第二に、1970-80年代の反開発住民運動が提起した自治体行政と資本の合作による「囲い込み」と「蓄積」の問題から沖縄現代史を捉え直すことを試みた。 1.上原こずえ「「生存の危機」にある沖縄戦後の運動史を捉え直す」」(『年報日本現代史 』2022年12月)では沖縄戦と米軍占領、1972年施政権返還から現在まで続く「囲い込み」を「本源的蓄積」の問題と捉え、難民、労働者、住民、女性、プレカリアートといった主体による抵抗を描き出すことを目指した。とりわけ、周縁化された人びとが経験する生存や生活の問題を抵抗運動の課題に接続することを試みた。 2.上原こずえ「施政権返還後の福祉労働者の闘いが提起した人間排除のシステムの問題」(『生活経済政策 』2022年6月)では、金武湾反CTS闘争と同時期に組織され、それぞれの運動を担う人々が行き来した「ゆうな学園闘争」に焦点を当てた。佐藤内閣のもとで「社会開発」と「精神障害者収容論」に拍車がかかる日本への復帰前後の15年は沖縄にとって、「精神医療の高度成長期」であり、「治安維持」のための警察・機動隊による監視も強化されていたことを論じた。 3.上原こずえ「棄民に抗し、サブシステンスを求める―移動する沖縄青年労働者の反差別・反開発闘争」(『「東アジア連続講演会」+研究報告集』2022年5月)では、関東の沖縄出身青年労働者たちが、労働現場で疎外を経験する中で、近代以降の「棄民」としての移民・出稼ぎ史に自らの集団就職・本土就職経験を位置づけ、そうした「棄民」を生む背景に沖縄現地の「囲い込み」があると認識する過程を描いた。
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Research Products
(3 results)