2019 Fiscal Year Research-status Report
幕末維新期の角館地域を中核とした知的関係と政治意識の形成
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18K12515
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
天野 真志 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 特任准教授 (60583317)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 角館 / 学問受容 / 歴史意識 / 平田国学 / 秋田藩 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き角館町武家屋敷内の石黒家文書の調査・整理を実施するとともに、角館地域における学問的関係の構築状況に加え、由緒調査から派生する他地域との交流関係の把握を進めた。あわせて、石黒家文書の保存に関する協議を進め、同家における長期保存に向けた処置を進めることができた。 これらの成果を踏まえ、東北史学会大会で「幕末期の気吹舎情報をめぐる政治・思想関係」として研究発表をおこない、秋田藩内における政治情報流通と思想的関係について議論をおこなった。 また、石黒家以外の資料所蔵宅へも所在確認と一時調査をおこない、今後の調査・研究に向けた関係を構築した。 佐竹家中の歴史意識と関連した由緒探求の実相について、茨城県立歴史館発行の特別展図録『佐竹氏―800年の歴史と文化』に寄稿し、角館地域から発する知的関係の展開状況を提示した。 さらに、国立歴史民俗博物館所蔵「平田篤胤関係資料」から気吹舎平田家と秋田藩との交流に関わる情報の抽出をおこない、篤胤生前から構築される両者の関係性について、思想的側面に限定されない交流関係について検討をおこなった。あわせて、秋田県公文書館所蔵「佐竹宗家文書」、「佐竹北家文書」「吉成文庫」を中心に角館および気吹舎関係資料の調査を実施し、秋田領内で形成されていく交流関係の実態解明に向けた検討をおこなった。 これらの成果を踏まえ、成果発信に向けた情報整理をおこない、成果の論文化・史料紹介に向けた史料翻刻と検討を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的通り、対象とする史料調査をほぼ計画通り進めることができており、角館地域においても地元関係者と連携した調査活動を順調に進めることができた。また、成果発信として論文化および研究発表も進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
①新型コロナウィルスの影響で現地調査を含む史料調査の計画が困難であるため、史料所蔵宅との情報交換を通して史料情報や状態の確認を進めていく。 ②前年度までに調査・撮影した史料情報の整理を進めるとともに、史料の翻刻・検討を進め、史料紹介や論文を中心とした成果発信を進める。
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Causes of Carryover |
天候不良にともない調査日を制限せざるを得なかったことに加え、新型コロナウイルス流行の影響により、次年度へ繰り越すことになった。次年度に予定分の調査遂行および成果発信に向けた印刷費等として執行する。
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Research Products
(6 results)