2019 Fiscal Year Research-status Report
先史時代のエジプト・西アジアにおける石製両面加工ナイフの実験考古学的比較研究
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18K12550
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長屋 憲慶 早稲田大学, 総合研究機構, その他(招聘研究員) (60647098)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フリント製両面加工ナイフ / エジプト先王朝時代 / 複製実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
エジプトと西アジア。両地域は新石器時代から文化的交流を深め、やがてそれぞれが国家の成立を迎える。その中で新石器時代後期に発生したフリント製両面加工ナイフは、農耕・牧畜技術に代表される所謂「Neolithic package」として エジプトに伝播し、これが初期国家形成期のエジプトでは威信財(稀少石器)として独自の技術的変容を遂げる。本研究の目的 は、このように両地域を密接につなぐ考古資料のひとつである両面加工ナイフの製作技術および特にエジプトでの発達過程を検証 することにより、初期国家形成期の人間社会の変化をモノづくりの観点から論じることである。 2019年度は、冬期にエジプト現地にて遺跡出土資料の調査を実施し、同遺跡の出土資料の分析と、先王朝期のエリート墓地における副葬品石器の製作技術の考察をおこなった。具体的には、被葬者や墓の規模・構造の違いなどによる副葬される石器のアセンブリッジや製作技術の特徴の違いを考察した。また、当該期に特徴的に見られる波状剥取ナイフの複製実験結果をまとめ、領域国家形成期のエジプト初期王朝時代の社会動向について論じた。 西アジア地域での研究については、ヨルダン南部の新石器時代の石器製作技術に関する共著論文が発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、冬期にエジプト現地での資料調査を実施し、ヒエラコンポリス遺跡出土資料の整理作業を進めることができた。 西アジア地域についても、ヨルダン南部の新石器時代の石器製作技術に関する共著論文が発表された。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、エジプトと西アジア、2つの地域における両面加工石器の技術史に焦点を置き、これまでは、各地域個別の事例研究をおこなってきた。今後は、両地域の石器文化に関する比較研究を進めたい。
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Causes of Carryover |
研究初年度に海外調査未実施で旅費の支出がなく、研究機関を1年間延長したため。
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Research Products
(2 results)