2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Technological Exchange in Ancient East Asia from the Perspective of Agricultural Tools
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18K12559
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Research Institution | Tokyo National Museum |
Principal Investigator |
河野 正訓 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 主任研究員 (60634623)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 古墳時代 / 農工具 / 外来系 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍の影響がほぼなくなり、これまで実施が低調であった作品調査を挽回するため博物館を訪問し、外来系農工具の実測を行うことができた。例えば、赤堀歴史民俗博物館が所蔵する赤堀村4号墳出土サルポなどを調査した。また、各地の博物館等の展示を視察し、外来系農工具を副葬する歴史的な背景についても理解を深めることができた。 研究成果としては、東京国立博物館所蔵生産用具の集成作業が終わった。また「考古学雑誌」誌上に、山口県多々良寺山古墳出土品の報告を行い、外来系遺物が地域に入る歴史的な背景のひとつに、中央支配者層の関与により配置された渡来系氏族の存在を見いだした。このほか別途、山口県黒山1号墳出土品の報告を投稿中であり、そこでは古墳時代当時の海上交通について考察を深めている。日本考古学協会でも農工具について発表を行い、とりわけ鉄鎌と鉄鍬の管理保有の変遷を、社会動向と関連して議論した。 これまで行ってきた鉄柄斧の研究については、一般に講演会を開くなど、研究成果の周知に努めることもできた。 本研究の研究期間全体を通して見ると、外来系農工具の鉄柄斧を中心にして、議論を展開することができたといえる。とりわけ外来系と一括りとされがちな農工具であるが、詳細にみると必ずしも朝鮮半島から日本列島へ一方向的にモノが伝播するのではなく、双方向的な伝播の在り方を示し得たことは大きな成果であった。また、外来系農工具や関連する資料の基礎的な研究を積み重ねることもでき、実測図の資料報告を軸に、外来技術に関する考察を深める事ができたといえる。これら研究活動の一般周知として、東京国立博物館での展示や、このほか講演会も行うことができた。 以上の研究を通して、外来系農工具の技術系譜に関する理解が深まり、かつ基礎研究も進展させることができた。今後の外来系農工具の研究を推進させるうえでも意義ある研究であったといえる。
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Research Products
(4 results)