2022 Fiscal Year Research-status Report
中国都市部における産育文化の変容と受容 ー家政サービス員を中心にー
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18K12599
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
翁 文静 九州大学, アドミッションセンター, 准教授 (80780072)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 家政サービス員 / 実践コミュニティ / 文化の変容と受容 / 中国の都市部 / ケア / 家政婦 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中国都市部における家政サービス員(母子や高齢者のケア、家事を担当する家政婦)を取り上げ、中国都市部におけるケア文化の変容とその受容の一端を解明することを目的とする。分析は三つのレベルに分け、それぞれ、国家政策の把握(マクロレベル)、家政サービス員の養成実態の記述(メゾレベル)、および家政サービス員の実践と雇用主による受容の実態(ミクロレベル)である。 今年度は新型コロナウイルスおよび日中関係の影響で、中国国内における現地調査の実施ができなかった。そのかわりに、これまでの調査データ(現地とオンラインの両方)を整理し、理論的に考察することを試みた。具体的に、レイヴとウェンガ(1993)が提唱した「実践」と「実践コミュニティ」の理論を家政サービス員の実践の形成と実施に応用した上、田辺(2003)が指摘した実践コミュニティにおける権力作用の視点も取り入れた。こうすることによって、中国都市部における新しいケア文化の変容と受容を明らかにすることもでき、また、ケア実践の場に隠されている国家の権力や統治を描き出すことができると考えられる。 また、国家政策の把握(マクロレベル)に関しては、一人っ子政策や早期教育政策など最新の情報を収集しつつ、整理、分析を行いたい。 次年度は理論的な枠組みを再検討するとともに、これまでの現地調査によるデータ(フィールドノーツ)の整理を行う。また、出版という形で研究成果を公開する予定である。現段階では、(出版社を通して)、査読者のコメントをもらい、それに基づき、原稿の修正作業を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は新型コロナウイルスに加え、日本と中国の関係の影響で、中国へ渡航し、中国国内における現地調査が実施できなかった。そのため、計画していた家政サービス員の養成の施設への訪問、雇用主と家政サービス員のやりとりの観察の実施ができていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
中国へ渡航ができる状況になれば、追加調査を行いたい。 引き続き、日本語と中国語の文献のレビュアーを行う。日本語の文献に関しては、日本国内で入手するが、中国語の文献に関しては、中国知網をデータベースとして活用したい。
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Causes of Carryover |
コロナの関係で、海外出張ができず、旅費と交通費などが執行できないため、次年度の使用額が生じた。今後、現地調査を再開し、当初予定していた観察やインタビュー調査を行いたい。また、成果物を公開したいので、今年度の額を次年度の出版費用に使用したい。
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