2022 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative study on corporate scandals in Japan, China and Korea
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18K12615
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Research Institution | Hakodate University |
Principal Investigator |
藤原 凛 函館大学, 商学部, 准教授 (40755005)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 企業不祥事 / 東アジア / 環境優位型 / 権力優位型 / 政経協働型 / 法文化 / 中国 / 韓国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本・中国・韓国における企業不祥事の実態調査と分類、法文化の視点からの比較分析を通じ、三ヶ国の社会システムと法の関係性をモデル化した。 具体的には、まず、企業不祥事のリストを作成した。日本の場合、日本経済新聞社の「日本経済新聞」、中国の場合、北京師範大学中国企業家犯罪予防管理研究センターの『企業家犯罪分析と刑事リスク予防管理報告』、韓国の場合、ハンギョレ新聞社の「ハンギョレ」をもとに対象事件を抽出し(日本:88件;中国:85件;韓国70件)、文献調査・判例研究を通して、事件の詳細並びに相関を整理したデータベースを作成した。期間は、三カ国ともにデジタル調査が可能となった2011年から、不祥事の処理がひと段落したと思われる2018年までの8年間を対象とした。 次にアンケート調査および関係者のインタビューを通し、現時点で明らかとなった不祥事の発生原因を、企業内部の問題(経営陣①-1・従業員①-2)、②行政の管理監督不備、③法制度の不備、④司法の判断基準の曖昧さ、⑤法文化(社会システム不具合)に分類した。なお、複合的な要因による不祥事の場合は、順位づけをしたうえで、重複してカウントした。結果、三カ国はいずれも企業内部の経営陣に起因する不祥事の割合がもっとも高いことが分かった。一方、国別の特徴として、日本における従業員に起因する不祥事は、直接的な個人の経済的利益より組織的な利益が動機となっている事件が多い反面、中国は前者が多い特徴が見られた。さらに、中国は行政の管理監督や法制度・司法の判断基準等、管理制度に起因する不祥事が目立つ反面、日本は法文化、例えば長年の業界の慣行と欧米の商慣習のコンフリクトに起因する不祥事が目立った。韓国の場合は、政経癒着型の不祥事が圧倒的に多かった。 よって、社会システムと法の関係性は、日本が環境優位型、中国が権力優位型、韓国は政経協働型と結論づけた。
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