2021 Fiscal Year Research-status Report
「離職意思」から「離職行動」への移行要因・メカニズムの実証研究
Project/Area Number |
18K12845
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Research Institution | Tama University |
Principal Investigator |
初見 康行 多摩大学, 経営情報学部, 准教授 (50737286)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 離職 / 離職意思 / 離職行動 / 退職 / 自発的退職 / turnover |
Outline of Annual Research Achievements |
「離職意思」や「離職行動」について、2021年度の調査から得られた知見は大きく2つある。第1に、「離職意思」は「仕事外の要因」からも有意な影響を受けることが確認された。本研究では、「離職意思」を応答変数、生活・家庭状況などの私的生活を説明変数とする重回帰分析を行った。その結果、「職務満足」や「所属企業の業績」等を統制しても、生活・家庭状況が「離職意思」に有意な影響を及ぼすことが確認された。具体的には、「経済的な困窮」、「育児の負担増」が、「離職意思」に有意な正の影響を及ぼしていた。また、「勤務地への不満」も離職意思の促進に有意な影響を与えていた。以上の結果から、仕事内容とは直接関係のない、私的生活の状況が離職意思に影響を与えることが推測される。 第2に、「離職行動」についても、上記と同様に生活・家庭状況などの私的生活が影響を及ぼす可能性が確認された。本研究では、直近3年以内の離職有無を応答変数、3年以内に起きた私的生活における変化(例えば、結婚、出産、離婚、両親の介護、自己の健康など)を説明変数とした二項ロジスティックス回帰分析を実施した。分析の結果、「職務満足」等を統制しても、生活・家庭状況が「離職行動」に有意な影響を及ぼすことが確認された。具体的には、「転居」、「出産」、「自己の健康」、「育児の増加」、「配偶者の転職」、「経済的困窮」が、「離職行動の有無」に有意な影響を与えていた。以上の結果から、実際の「離職行動」についても、仕事内容とは直接関係のない私的生活の状況が影響を与えることが推測される。 本研究の結果は、離職研究において仕事内容や職場環境のみを調査するだけでは不十分であることを示唆している。離職を防止するためには、仕事・職場環境だけでなく、仕事外の要因についても検討・ケアする必要があると考えられる。今後は、より詳細な要因について分析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、研究の進捗に遅れが出ている。また、新型コロナウイルスの感染拡大によって広まった「働き方の変化(リモートワーク等)」などが、離職意思や離職行動に影響を及ぼしている可能性が考えられる。そのため、研究期間を延長し、上記の要因も含めた分析を実施していく。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染拡大によって研究の進捗に遅れが出たが、今年度は学会発表や論文執筆など、分析結果を積極的に発表していく。具体的には、日本労務学会、経営行動科学学会、日本キャリアデザイン学会等に投稿していく。
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Causes of Carryover |
本年度は予算を使用しなかったため、2万9,432円の差額が発生している。本予算については、次年度の論文・書籍費等に使用していく予定である。
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