2019 Fiscal Year Research-status Report
海外子会社トップ・マネジメント・チームの異質性と企業家活動の成果に関する研究
Project/Area Number |
18K12853
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
渡邉 万里子 東京理科大学, 経営学部経営学科, 講師 (70736701)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 海外子会社 / 企業家活動 / マネジメントチーム / 多様性 / 制度環境 / 起業エコシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、(1)理論的な研究枠組みの構築、(2)複数・少数事例調査による研究枠組みの検証、(3)サーベイ調査による仮説の検証という3つのサブテーマから構成されている。2019年度は主に(1)(2)に関するサブテーマの深耕と学会での報告発表を中心に研究活動を進めてきた。 まず、(1)理論的な枠組みとしては、海外子会社の企業家活動(Subsidiary Entrepreneurship)に関連する研究とマネジメントチームの異質性に関連する研究、2つの研究分野を基盤とした枠組みを検討し、先行研究の文献調査を進めてきた。今後は先行研究レビュー論文にまとめる予定である。 次に(2)複数・少数事例調査による枠組みの検証に関しては、研究環境の変化を背景として当初に予定していた1次データの取得やその使用に関する承諾が困難であることが明らかになり、研究計画を修正・変更した。現在、2次データ(企業による公開データ、調査会社による集計データ、新聞・雑誌記事データ、既存の事例研究など)を中心に事例のデータ収集と整理を進めている。現在、整理・分析している複数事例調査の結果では海外子会社の企業家活動を促進する要件として海外子会社のミクロ環境と進出先の制度環境の相互作用の重要性が示されている。具体的には海外子会社のマネジメントチームの経験の異質性(前職での専門的な経験、高等教育での教育、専門分野、海外勤務・海外留学など国際経験)の程度と、それらの経験から蓄積された進出先の起業エコシステムの重要なアクター(組織、個人)とのネットワークの有無が、海外子会社の企業家活動の成果に影響を与える可能性が考えられる。今後は(1)と関連づけながら、追加的データも合わせて体系的な複数事例研究としてまとめ、学会発表や論文として報告していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、(1)理論的な研究枠組みの構築、(2)複数・少数事例調査による研究枠組みの検証、(3)サーベイ調査による仮説の検証という3つのサブテーマから構成されている。2019年度は主に(1)(2)に関するサブテーマの深耕と学会発表を中心に研究活動を進めてきた。 まず、(1)に関しては既存の文献や2次データの収集・整理による文献調査が中心であることから、概ね順調に進んでいる。 次に(2)複数・少数事例調査による枠組みの検証に関しては、研究環境の変化(研究協力者の異動や協力先企業の情報管理・コンプライアンス上の問題、経営状況の変化など)を背景として、当初に予定していた1次データの取得やその使用に関する承諾が困難であり、実施したとしても非常に時間がかかることが明らかになった。そのため、当初計画・予定していた企業インタビュー調査の計画を修正・変更する必要があり、当初計画・予定していない作業であったために時間がかかった。当初の計画では本年度中に(2)はデータ収集・分析・考察を終えている予定であったが、現段階ではデータ収集とその整理の段階であり、遅れている。 (2)の状況に関連して、(3)のサブテーマで計画・予定していた質問紙によるサーベイ調査も回収が非常に難しいことが懸念される。とくに2019年度の第三四半期から第四四半期にかけて海外の政治経済状況の不安定、感染症などの影響による経営状況の悪化があり、現段階ですでに企業や起業家の調査協力が十分に得られない状況が続いている。したがって、(3)に関しても、当初の計画・予定を修正・変更する必要があり、現在その作業にかかっている。こちらも2019年度にはサーベイ調査の設計を終えて、データの収集・分析もある程度進める予定であったが、現段階では調査設計の再検討を行なっている段階であり、遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、(1)理論的な研究枠組みの構築、(2)複数事例調査による研究枠組みの検証、(3)サーベイ調査による仮説の検証という3つのサブテーマから構成されている。2020年度は主に(2)(3)に関するサブテーマを進め、段階に応じて研究成果を学会や論文などで発表していく予定である。 まず、(2)に関しては引き続き2次データの収集を行う。とりわけ海外子会社のマネジメントチームにおける意思決定プロセスについて追加的なデータの収集を行う。それらの追加的データと合わせて複数・少数事例研究としてまとめていく計画である。 次に(3)に関しては質問紙によるサーベイ調査の計画を変更し、2次データの収集と分析による仮説の検証を行う計画である。2次データの利用に伴う計画変更のポイントは次の2点である。まず、2次データの収集は東洋経済新聞社の外資系企業総覧のデータ、及び企業の公開データを中心に、既存のデータを活用する計画である。そのため、海外子会社のマネジメントチームの異質性に関して、収集できる属性や特徴に限界がある。したがって、研究枠組みと仮説の再検討も合わせて行う。 以上の追加的な作業(計画修正・変更に伴う追加データの収集、研究枠組みや仮説の再検討)は2020年度の上半期中に進め、できるだけ早く(3)の2次データの分析に入ることを目指したい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は2つある。まず、研究環境の変化(研究協力者の異動や協力先企業の情報管理・コンプライアンス上の問題、経営状況の変化など)を背景として本年度予定していた企業インタビュー調査、およびサーベイ調査の計画が予定通り進まず、計画の修正・変更が生じたことによる。当初の計画では、企業インタビュー調査に係る旅費(国内外)、サーベイ調査に係る通信費・人件費・謝金での使用を予定していた。しかし、これらの活動が予定どおり進まず、本年度の使用目的が達成できなかった。また、本年度、報告発表を予定していた国際会議が海外情勢の変化(香港のデモ)に開催場所や時期が変更になってしまい、他の業務との兼ね合いによって、参加・報告発表ができなかった。したがって、国際学会での報告発表に係る旅費(国外)も使用が達成できなかった。 2020年度も国際学会への参加は、感染症の影響でオンラインでの開催になり、当初予定していた旅費(国外)での使用は達成が困難であると判断する。これらの状況を鑑みて、2020年度はこれらの次年度使用額を、1次データの収集に関連したデータベースの購入費、データ整理に係る人件費、謝金に当てる計画である。
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Research Products
(1 results)