2019 Fiscal Year Research-status Report
Empirical study on disclosure of goodwill and goodwill impairment information
Project/Area Number |
18K12891
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
石井 孝和 佐賀大学, 経済学部, 准教授 (80757344)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 財務会計 / のれん / 減損会計 / ディスクロージャー / 企業結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、のれん減損損失の発生要因をのれん発生時の開示情報から解明すること及びのれん及びのれんの減損に関する開示情報がもたらす経済的帰結の調査を行うことを目的としている。 令和元年度においては、平成30年度に引き続き、文献のレビュー及びデータの整理を中心に取り組んだ。文献のレビューでは、企業によるのれん関連の開示水準を決定付ける要因やその後の影響及び開示実態について、これまで明らかにされてきたことを整理した。その結果、開示水準は経営者による開示戦略に裁量的に用いられていることが分かった。つまり、情報を開示することによって企業が不利な状況になる場合には、あえて曖昧な開示を行うことで開示水準を下げる傾向にあることが明らかになった。さらに、高水準の開示を行うことによって経営者と投資者との間の情報の非対称性が減少することになり、結果的に株主資本コストを引き下げることになるため、企業による開示水準は、開示後の市場価値に正の影響を与えることについても明らかになった。つまり、投資者は企業によるのれん関連の開示水準についての評価は行っており、高水準の開示を行っている企業に対しては市場の評価も高まることが確認された。 データの整理については、有価証券報告書の企業結合関係注記において開示されてる「企業結合を行った主な理由」についてのテキストデータの収集・整理を中心に行った。おおよそ9年分のテキストデータをデータベース化して整理することができ、次年度に実施する実証研究の基礎固めを行うことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの整理に予想以上に時間を取られてしまったために、実証的な分析結果を公表するには至らなかったものの、収集したテキストデータのリーダビリティや、企業結合の理由に関する定性的な情報が将来業績に与える影響についての分析を行うことが可能な状況を整えることはできた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、収集したテキストデータのリーダビリティを分析したうえで、その特徴を明らかにし、さらに、企業結合の理由に関する定性的な情報の有用性について、これまでの研究との比較や新たな視点からの調査・分析を行っていく予定である。研究成果については、各種学会や研究会において報告を行うことによって精緻化に努め、研究論文としてまとめる予定である。
|
Causes of Carryover |
主にデータベース購入額の支払いが次年度行われることになったことにより次年度使用額が生じた。この金額については、次年度におけるデータベースの購入金額に充てられる予定である。
|
Research Products
(1 results)