2021 Fiscal Year Research-status Report
障害者の子を持つ困難に影響を与えるローカルノレッジとしての医学的観点の解明
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18K12928
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹田 恵子 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (70707314)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 障害 / 家族形成 / 結婚 / 妊娠 / 出産 / 育児 / 社会モデル / 医療モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
障害を持つ当事者(以下、障害者)を対象に聞き取り調査を実施し、障害者の家族形成に関わる要因を仮説生成的に浮かび上がらせて、整理を試みた。その結果、障害者の家族形成では〈自立〉が最初に直面する課題であり、これをなしとげるためには〈道具〉を用い、〈パートナーシップ〉を育みながら課題を〈克服〉する必要があることが示唆された。また、〈自立〉を果たした障害者は、家族形成への〈意志〉を確立し、目的を果たすために〈道具〉や〈パートナーシップ〉をさらに充実させて、〈育児環境の整備〉も積極的に進めていることもわかった。さらに、障害者の家族形成を支えるためには、社会が〈支援の拡充〉と障害にまつわる〈教育の推進〉を実現させ、〈多様なパートナーシップ〉を受け容れることも必要もあるが、まずは障害者の〈自立〉を支援することが最重要課題だと考えられた。 また、障害者の家族形成に関係する医学的観点が明確にあらわれるのは、妊娠・出産に必要な〈道具〉にまつわる話であるが、このような医学的観点は、多くの場合、伝聞による曖昧さがみとめられた。にもかかわらず、障害者の話の中に現れる医学的観点は、自身や知人の障害者体験と混ざり合って、本人の家族形成をプラスにもマイナスにも方向付ける非常に力強い材料の一つに変化していることもわかった。 以上の知見は、2021年11月に「障害者の結婚・妊娠・育児に影響を与える要因―インタビュー調査による仮説生成の試み―」として、子育て学会第13回大会ポスター発表で報告するとともに、本研究の成果を一般公開するため、ウェブサイト「障害と妊娠・出産・育児―障害者の子を持つ困難に影響を与えるローカルノレッジとしての医学的観点の解明」にも掲載した(URLはhttp://takedakeiko.sakura.ne.jp/)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの蔓延により、研究対象者への聞き取り調査が予定取り開始できず、2021年度の調査をほぼ1年遅れで着手することになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の延長申請が通過したため、2022年度を最後の研究年度とするべく活動を始めている。これまでの研究成果のまとめにあたるアンケート調査を実施し、障害と家族形成について最終報告書をまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス蔓延のために研究の進行が予定通りにならなかったことに加え、研究計画当初に予定していたインタビュー調査を直接面談形式からリモート方式へ変更したために旅費を使わなくなったため。
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Research Products
(2 results)