2021 Fiscal Year Research-status Report
Ethnomethodological Study of Youth Problem Discources in Postwar Japan
Project/Area Number |
18K12942
|
Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
小川 豊武 昭和女子大学, 人間社会学部, 講師 (80796079)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 若者 / 言説 / メディア / コミュニケーション / 社会問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、戦後日本における「若者」を社会問題化してきた新聞・雑誌・映像等の言説を対象に、それらがいかなる常識的・専門的知識を基盤にして、「社会問題」としての理解可能性を獲得してきたのかを明らかにすることである。本研究は、戦後日本における若者を社会問題化する言説の歴史的変遷を記述することを通して、社会における「若者」カテゴリーの意味を解明し、今後の「若者」への社会的対応を検討するための基礎となる知見を提出することを目指している。 2021年度は次の2つのプロジェクトを中心に研究を行った。第一に、戦後日本における主要な若者言説の実践と方法を、エスノメソドロジー研究の立場から記述的に解明する研究を進展させた。これまで発表した論文の記述を見直し新たな分析を追加した。また、これまで学会報告で発表してきた、「若者とメディア」言説、「若者とマーケティング」言説、新規に「若者の右傾化」言説の実践と方法を記述する論文を執筆した。さらに、研究プロジェクト全体の方法論的バックボーンについて文献調査を行い理論的な考察を行った。具体的には、従来の言説を対象にした社会学的研究を批判的に検討したうえで、エスノメソドロジー研究の立場からのテクスト分析の特徴や目的について考察を加えた。 第二に、2020年度に続き、映像メディアにおける「若者」を扱った番組の研究を進展させた。具体的には、NHKの報道番組で「若者」のSNSを介したコミュニケーションを社会問題化した番組回を詳細に分析し、「若者」カテゴリーがニュースとしての理解可能性の産出とどのように関わっているのかについて分析を深めた。分析結果は2022年度に共著論文として英文学術誌で刊行予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述したように、本研究の目的は、戦後日本における「若者」を社会問題化してきた言説の理解可能性を記述的に解明することにある。分析対象の若者言説は、大きく分けると、①活字メディア、②映像メディアの2つであり、2021年度は、①については若者言説の実践と方法の記述的解明を行う研究を進展させた。②についてはテレビの報道番組の分析を行い、共著論文を執筆し学術雑誌に投稿することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度も引き続き、活字メディアにおける若者言説の研究を中心に研究を進める。具体的には、2021年度に新たに書き下ろした論文(「若者とメディア」言説、「若者とマーケティング」言説、「若者の右傾化」言説など)について、再調査を行い、新規データを追加して分析したうえで、それぞれ学術雑誌等に投稿する。
|
Causes of Carryover |
研究についてはおおむね順調に進展しているが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う渡航制限などから、今年度も海外学会への参加、および研究発表を実施することができず、次年度繰越となった。次年度については、海外学会での発表に加えて、今年度も購入を見送った映像分析を行うための機器、ソフトウェア、映像アーカイブ構築費用等での使用を予定している。
|