2018 Fiscal Year Research-status Report
ジェンダーの視点から捉える非行からの立ち直り―当事者への追跡調査を通して
Project/Area Number |
18K13101
|
Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
都島 梨紗 岡山県立大学, 保健福祉学部, 講師 (70779909)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 非行からの立ち直り / 女子非行に関する調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,非行経験を有する女性を中心に調査研究を進めるための①文献調査,②調査の依頼といった調査準備に時間を割いた。特に女性については,被虐待経験やDV被害や仲間内での暴力被害などを経験していることは先行研究において指摘されているところである。欧米において蓄積の厚い被害者研究について知識を深めたことで,現実をより多角的に把握するための視角を得ることができた。今後の調査研究では,加害経験のみならず被害経験も併せて聞き取ることで,より詳細に立ち直りのプロセスにおける社会的障壁等を描き出していく。 次に,女性の聞き取り調査を行うため,特に日本国内において,本年度は調査の準備として依頼や打ち合わせに多くの時間を費やした。非行や犯罪を中心に,センシティヴな情報を聞き取る本調査を円滑に進めるためには何よりもまず,調査参加者との関係性構築が重要である。フィールドとする団体のイベントを中心にフィールドワークを重ね,聞き取り調査の準備を行った。その結果,数名に対し,次年度より聞き取り調査を本格的に開始できることとなった。ただし,この1年のうちに,結婚や出産など,状況が変化した対象者も一部いるため,新しい生活の支障とならないように配慮しながら調査を進める必要がある。 加えて,台湾での調査については,これまで研究協力者として関わっていた研究者が就職を機に状況が変化したため,研究メンバーとして参加できなくなった。したがって,新たに研究メンバーを組み直し,研究計画を見直している状況である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者の生活の変化など,当初予期していなかったライフイベントにより,調査計画を一部見直す必要はあったが,その代わり,文献調査などを中心に進めることができた。特に,我が国の少年非行については,例えば少年院送致少年の被虐待経験率の高さなどの問題が実体として顕在化しておりながら,理論的・学術的な検討の俎上には載せられていない。 本年度行った文献調査の知見を元にしながら,残りの年度において調査研究を,当初の研究計画に近づける形で進めていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,調査研究と研究報告を中心に進める。調査研究については,国内において主に,非行経験を有する女性に対する聞き取り調査を中心に進める。その際,当初の計画で予定した人数にこだわらず,質の良いデータが得られるよう,あくまで関係性構築を中心に進める。ひとりひとりの語りに真摯に向き合い,そこから立ち直りのプロセスならびに,そこにおける社会的障壁等を描き出す。 また,海外については引き続き台湾を対象に調査研究を進める。本年度新たに結成した研究メンバーで,次年度は調査研究を進めていく。その際,過去に得られたデータなども用いながら,日本との相違などについて丁寧に分析を試みる。 そして,上記の経験的研究を踏まえ,国内外での学会報告を行い,論文化を目指す。
|
Research Products
(3 results)