2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K13274
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
高木 彩 千葉工業大学, 社会システム科学部, 准教授 (30532395)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リスク・コミュニケーション / リスク認知 / 社会的受容 / ベネフィット認知 / 萌芽技術 / ELSI / IT |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度に引き続き、令和2年度も萌芽技術のリスク認知と感情要因との関連を検討した。令和2年度はまず、令和元年度にデータの収集まで完了していた4つの萌芽技術(AI、機械学習、自動運転、VR)のリスク認知に関するインターネット調査のデータ分析を進めた。この調査では、リスク認知の他に、ベネフィット認知、受容態度を測定し、それらの要因と、対象技術へ抱く感情(ポジティブ感情、ネガティブ感情等)と、個別の感情経験(畏怖感情、嫌悪感情など)の個人差要因の関連を検討した。 加えて令和2年度は、令和元年度のWEB調査票とその知見を用いて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策ツールの1つである接触確認アプリ(COCOA)を萌芽技術として取り上げ、萌芽技術へのリスク認知と感情要因との関連について、インターネット調査を実施し検討した。調査は令和2年11月下旬に一般市民を対象に実施した。その結果、萌芽技術に関する先行研究の知見から、萌芽技術の受容において主たる規定要因となることが予想されるリスク認知、ベネフィット認知、性能への信頼感に関しては、ベネフィット認知とリスク認知がCOCOAの受容(COCOAのインストール)に対しても有意な規定因であることを確認した。また、本研究で扱った個別の感情要因は、COCOAに対するベネフィット認知やリスク認知と有意な関連をもつことにより、間接的に影響を与えている可能性について示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、当初は想定していなかった接触確認アプリ(COCOA)を情報分野の萌芽技術として取り上げ研究することとなったが、萌芽技術のリスク認知と感情要因の関連を解明するという観点からは、一定の成果を得ることができた。また、平成30年度に行った研究については、学術雑誌に投稿し掲載が決定し、本研究課題の成果公表という面においても進展したため、上記の通り判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度にCOCOAを題材として実施したWEB調査データについては、主要な分析を終えたため、それらを学会発表と学術雑誌へ論文投稿し、成果公表を進める予定である。また、令和3年度も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大状況から、当初予定していた実験室実験等は実施が引き続き困難な可能性が考えられるため、研究課題の遂行方法については、それらの状況に即して最善と思われる実施形式を柔軟に模索したいと考えている。
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Causes of Carryover |
国際学会での成果発表を予定していたためその出張旅費を計上していたが、延期により令和2年度に開催されなかったため、次年度使用額が生じた。この次年度使用額に関しては、学会の参加費等に充てることを予定している。
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Research Products
(1 results)