2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K13291
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
明地 洋典 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (50723368)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自閉症 / 社会的認知 / 選好性 / 認知科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの自閉スペクトラム症に関する仮説は、自閉スペクトラム者における社会的事物に対する敏感性や社会的動機づけの低さが非定型発達を辿る主な要因であると想定するものが多かった。しかし、自閉スペクトラム者の社会性の非定型発達は、定型発達者に比べて社会的事物以外の特定の事物への選好性が高いことによる可能性が考えられる。実際、自閉スペクトラム症の診断基準には、社会的コミュニケーションや対人相互作用という側面の他に著しい興味の限局や常同行動という側面が存在する。本研究では、自閉スペクトラム者は定型発達者に比べて特定の事物や対象への選好性が高く、その選好性の高さが環境中の他者や事物との相互作用に影響し、経験や情報入力を変え、自閉スペクトラムとしてまとめられるような発達経路を辿ることを想定する。まずは、自閉スペクトラム者と定型発達者の間で様々な事物・対象に対する選好性にどのような違いがあるのかに関する基礎データを得る必要がある。今年度は、自閉スペクトラム者と定型発達者に、多くの図鑑の中からいくつか選んでもらい、その後、自由に選んだ図鑑を見て/読んでもらい、その間の行動観察を行った。自閉スペクトラム者と定型発達者では選びやすい図鑑が異なっていた。また、性別によっても選びやすい図鑑は異なっていた。特定の事物・対象への選好性の強さや限局の程度を調べるため、図鑑への注視や接触の時間、頻度についても解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に予期せぬ出来事は起こらなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に得た行動データに関する解析を継続する。また、さらなるデータを得るための課題を作成する。
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Causes of Carryover |
本年度の研究を進めるにあたり、研究費使用の必要が低かったため。 実験のための物品費、学会発表や研究打ち合わせのための旅費、実験謝金、学術誌投稿料、校閲費、通信費等に使用する予定である。
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