2018 Fiscal Year Research-status Report
幼児期の感情理解における「わからない」反応の発達:自己感情理解プロセスとの関連
Project/Area Number |
18K13292
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
近藤 龍彰 富山大学, 人間発達科学部, 講師 (50780970)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 幼児期 / 感情理解 / 「わからない」反応 / 自己 / 他者 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、大きく3つの研究を行った。 第一に、幼児期の子どもの「わからない」反応の発達に関して、その抑制要因の予備的検討を行った。具体的には、3~6歳の間に、答えが不確実な質問に対して「わからない」と回答する傾向が低下する現象について、「推論する」という認知メカニズムが生じる可能性を探った。質問方法、子どもによる言語報告を検討した結果、仮説を支持する結果が示唆された。実験課題のブラッシュアップが今後の課題となった。この研究結果は、イギリス心理学会発達部門カンファレンス2018にて発表した。 第二に、20歳頃の成人(大学生)を対象に、自己および他者の感情推測における「わからない」反応を検討した。幼児期の「わからない」反応と比較して、20歳頃では自己よりも他者の感情推測において「わからない」反応が多く見られることが明らかとなった。また自己感情推測での「わからない」反応と他者感情推測での「わからない」反応には相関関係が見られた。自己感情推測で生じる「わからない」反応の意味を探ることが今後の課題となった。この研究結果は、日本心理学会第30回大会で発表した。 第三に、子どもの日常場面での会話を観察し、データ収集を行った。その際、不確実性に言及する言動(質問)の頻度と向ける相手に着目した。現在、データ解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究は直接には実施していないが、幼児期の「わからない」反応に関する基礎データの収集ができた。また、自他感情理解における「わからない」反応のメカニズムを検討するデータも収集できた。さらに、補足として行った幼児の日常場面での実態データ収集も実施できた。データ分析も一定程度完了し、論文化の作業が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、1、2018年度に行った研究の論文化、2、31年度に計画している実験研究の実施、の2つを行う予定である。1については8月までに行う予定である。2に関しては、8月までに研究協力機関と打ち合わせをし、8~9月にかけて順次データ収集を行っていく予定である。
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