2021 Fiscal Year Research-status Report
高解像度シミュレーションを用いた周惑星円盤の形成・進化モデルの構築と衛星形成
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18K13604
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 悠里 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (40815164)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 衛星形成 / 周惑星円盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
原始惑星系円盤の中で誕生しつつある巨大ガス惑星の周りには、回転しながらガスが円盤状に集積する。この天体を周惑星円盤と呼ぶ。周惑星円盤は衛星形成の現場であると考えられている。よって、周惑星円盤の構造はその中で形成される衛星を特徴付ける重要な要素である。特に、温度分布や密度分布は、衛星の軌道に影響を与える。 ガス円盤の中で形成した衛星は、多くの場合、中心のガス惑星に向かって軌道移動し、惑星に飲み込まれてしまうことが知られている。そこで、衛星の惑星への落下を防ぐために、これまでに様々なアイデアが提唱されてきた。今年度は、その中でも惑星磁場が作る磁気圏に沿ったガス降着によって、円盤と惑星の間に隙間ができる効果について定量的に検討した。磁気圏降着が起こるためには、ガス降着の勢いが惑星磁場の磁気圧によって支えられる程度まで減衰している必要がある。さらに、ガスが十分に電離し、磁場との結合していなければならない。 本研究では、形成当初の木星および土星の内部構造を計算し、それぞれの磁場強度を求めた。そして、土星の周りの円盤では磁気圏降着が起こらないことを明らかにした。一方、木星の周りでは、一定の間、磁気圏降着が可能な時期があることが分かった。我々は、円盤と木星との間に隙間がある時期に、木星に向かって移動してきた衛星が円盤の内縁で停止し、さらに後続の衛星が共鳴軌道に捕獲されることによってガリレオ衛星のような衛星系が形成可能であるということを示した。長年の謎であった、木星と土星の衛星系の構造の違いを説明するシナリオを構築することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
引き続きガス惑星周りの巨大衛星の形成について研究を進め、衛星の最終的な軌道の決定に重要であると考えられている、周惑星円盤の進化の最終段階についてモデリングを行った。新たに共同研究者を迎え、惑星の磁場強度の違いによる衛星系の構造の違いについて明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
投稿準備中の論文を仕上げ、得られた成果を国際会議で発表する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大防止のために、参加を予定していた研究会や学会がキャンセル・延期された。また、共同研究者との研究打合せを対面で行うことが憚られたため、そのための旅費を使用しなかった。これらに使用予定だった旅費は次年度の論文出版や研究会出席のために有効活用する予定である。
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Research Products
(3 results)