2018 Fiscal Year Research-status Report
Realization of an extremely small high performance antenna using origami structure
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18K13760
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Research Institution | Yuge National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
藤田 佳祐 弓削商船高等専門学校, 情報工学科, 助教 (90804857)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 折り畳みアンテナ / 小型アンテナ / 理論限界 / 球ヘリカルアンテナ |
Outline of Annual Research Achievements |
小さな救難ビーコンを実現するために,装置に比べて大型だったアンテナの性能を保ったままでの小型化が必要である.本課題では,アンテナの小型化と高性能化を両立する折り畳みアンテナの実現に向けた研究を行っている.高性能化の指標としてはアンテナを小型化する場合に重要となる放射効率を採用している. 本年度はアンテナの形状によって放射効率がどのようになるのかを検討するために,折り畳み形状について検討した.放射効率を最大化するためには,アンテナ形状を球面形にすることが望ましいことが理論的に知られている.しかし,球面形では折りたたむことができないので,わずかに形状を変化させることで折りたたみが可能になる円筒形アンテナに着目することにした.円筒形アンテナは側面に等角らせんを配置し,上下面に対数らせんを配置したものである.数値シミュレーションのモデルを作成しモーメント法により放射効率を計算した. 形状を円筒形に変化させることによって,折り畳みが容易な形状とすることが可能になった.球面形の場合と同様に,らせんのピッチを変化させることで共振周波数が変化しアンテナサイズを調整できることが確認できた.また,円筒形アンテナは球面形アンテナと比べて小型化できるだけでなく,数値シミュレーションの結果から放射効率や帯域幅は理想的な球面アンテナと比べてほとんど劣化しないということが明らかになった. 以上の結果より,円筒形のアンテナを用いて小型で高効率な折り畳みアンテナを実現できるであろうことが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,小型で高性能な折り畳みアンテナの実現を目指している.アンテナの実現のために必要な乗り越えるべき課題を①アンテナ形状,②折り畳み時の特性,③周囲からの影響の3つに分けて検討する予定である.このうち,当初の計画通り本年度は①アンテナ形状に着目して折り畳みと高性能を両立するアンテナ形状について検討を行うことができた. まず,開発するアンテナの形状として円筒形を採用することとした.本研究においては,アンテナの折り畳みを可能にするシンプルな形状と,理論的裏付けがある高性能が同時に実現される.理論的には球面に電流を配置した球ヘリカルアンテナが高い放射効率を持つことが知られているが,球面は折り畳みが難しい.そこで,球面に近い折り畳み可能な形状として,円筒形に着目した.この円筒上のらせんに沿ってワイヤを配置することにした. 次に,アンテナ形状のパラメータを変化させシミュレーションを行った.らせんのピッチを変化させることで共振する周波数を変化させることが可能であることを確認し,放射特性の計算を行った.シミュレーションの結果から,円筒アンテナの放射効率は球ヘリカルアンテナと比べ,アンテナサイズが小さいときで10%程度の低下となることがわかった.また,帯域幅については中心周波数が270MHzのとき0.9MHzとなることがわかった.以上から,円筒アンテナを用いることで本研究の目的である海難救助ビーコン用高性能小型アンテナを実現できるであろうという見通しを立てることができた. 以上のような成果を国際および国内の学会にて発表した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は直近の課題として,アンテナの折り畳み状況によって円筒型アンテナの性能がどのように変化するのかを解明していく予定である.解明の手段として第一に検討しているのは,数値シミュレーションである.アンテナの展開途中の状態のシミュレーションモデルを複数作成して,シミュレーションを行うことにより放射効率の変化を見る.第二に,可能であれば円筒アンテナの解析的モデルも検討したい.円筒上に配置された電流からの放射を解析的に表現することにより,より厳密な形で折りたたみの影響を考慮できるからである. 次の課題として,アンテナの広帯域化検討が挙げられる.アンテナを折りたたみするときにはアンテナサイズが展開時よりも小さくなるので,アンテナの帯域幅が小さくなることが予想される.小型アンテナが単共振であれば電磁界理論から帯域幅の縮小は避けられないことが知られている.そこで,アンテナの帯域幅を拡大するために複共振を用いることができないかについて追加の検討を行うこととしたい. 併せて,アンテナの実用化へ向けた実験も行っていきたい.これまでシミュレーションを使って性能を検証した円筒アンテナについて,実際に電波暗室を用いて放射測定を行う.そのために,まずアンテナの測定に必要な簡易電波暗室を製作する予定である.そして簡易電波暗室でカットアンドトライを通じて製作したアンテナが正しく動作していることを確認した後で,東毛産業技術センターの大型電波暗室を使用して詳細な性能を計測する予定である.
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Causes of Carryover |
申請者は,2019年4月に旧所属の弓削商船高等専門学校から新所属の前橋工科大学へと異動した.異動に伴う準備等により,2018年度の予算使用を減らし次年度に使用することとした. 異動前の組織で所有していた測定器などが新所属では使用することができないので,測定器を新たに用意するなどの方策が必要になった.さらに,正確なアンテナの測定のために簡易電波暗室が必要であることがわかった.以上から予算の使用を変更することとした.
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Research Products
(9 results)