2018 Fiscal Year Research-status Report
緊急災害対応における無人化施工のためのオペレータ支援システム
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18K13810
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 浩光 千葉工業大学, 先進工学部, 准教授 (30781215)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 無人化施工 / 遠隔操作 / 無人建機 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,災害対応における無人建機の投入・稼働を支援する目的で,建設ロボットの遠隔操作のための知能化システムの構築を目的とする.災害発生直後の無人建機投入のためのプロセスを【1】測量,【2】計画,【3】稼働の3つのフェーズに分割して,それぞれにおいてオペレータを支援する技術を研究開発する. 今年度は,【1】についてドローンなどの移動体による測量において,環境中の異常発熱体および水分量を検出するための技術である,温度センサや近赤外線カメラと3次元測距センサを組み合わせたマルチモーダルセンシングシステムについて,センサ間の基本的なキャリブレーション手法を構築した. また【2】については,土砂崩れなどによる作業現場の地形の変化を伴う災害現場において災害規模を知るための技術として,ドローンなどにより複数視点から取得した3次元点群から土砂体積を推定する手法を提案した.基礎的な推定手法について日本機械学会関東支部講演会での発表を終え,多視点からの土砂体積推定手法のための点群の統合手法について2019年6月にロボティクス・メカトロニクス講演会(ROBOMECH2019)で発表予定である. 【3】については,複数の移動体が協調してするための移動体同士の相対位置姿勢推定手法について,3次元特徴量Fast Point Feature Histogramsと3次元位置合わせ手法であるIterative Closest Pointを組み合わせた,高速かつ正確な位置姿勢推定法を構築し,日本機械学会関東支部講演会で報告した. また,不整地において建機を安全に操作するために,物理シミュレータを用いた地形の安定性評価手法を提案し,第19回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会で報告した.さらに,安定度を増すための姿勢変化方向の提示手法についてROBOMECH2019で発表予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,建設ロボットの遠隔操作のための知能化システムの構築を機能分解し,各機能において必須となる要素技術の研究開発に注力してきた.具体的には,本研究における実施項目,【1】測量,【2】計画,【3】稼働の3つのフェーズに対して,全体的に計画通りの進捗を達成しており,学会発表などの成果報告も計画的に実施できている.結果として,初年度の成果に関しては,6件の口頭発表(内3本は次年度に発表予定)と,1件の雑誌論文(投稿中)としてまとめている. 今年度の成果である各要素技術の統合やシステム化については既に検討を始めている.現在は,既存の最新の技術などの情報取集のための文献調査および学会参加などを行いながら,技術動向を踏まえた上で,本研究に必要な機材やソフトウェアの選定も進めている. 以上のように,本研究の遂行については概ね順調であり,計画通りに進められていると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,本研究における実施項目,【1】測量,【2】計画,【3】稼働の3つのフェーズに対して,本年度取り組んできた要素技術の研究開発を継続して行い発展させるとともに,新たな要素技術の研究開発にも取り組む.また,各要素技術の統合やシステム化についてもプロトタイプシステムの検討を行う. 具体的には,温度センサや近赤外線カメラ,3次元測距画像センサ,Light Detection and Ranging(LiDAR),広角カメラ,音響センサなどの,異種複数センサを統合し,その結果を遠隔操作のオペレータに可視化するための映像提示手法の検討を開始する.例えば,本研究で用いている近赤外線カメラは可視光外の波長を撮影可能なセンサであり,一般的に異種材料や水分などの特定の物質の検出に利用されている.次年度以降は,近赤外線カメラのように通常のカメラのみでは利用が困難な情報を取得可能なセンサや,異なる性質の情報が取得可能な異種センサを複数組み合わせることで取得したマルチモーダル情報と機械学習技術を利用して,環境中の異常を検出し提示する手法に関して検討し,プロトタイプを作成する.また,研究室内などの屋内環境での検証実験を行い,その性能の評価を行い,次年度の課題を抽出する.
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Causes of Carryover |
研究予算に関しては,初年度では要素技術の主にアルゴリズム構築に注力したために,次年度の移動ロボット・ドローンなどの移動体や,センシングに用いる異種複数センサ,機械学習のためのGPU搭載の計算機などの高額な研究機材を導入するために繰り越しを行っている.これらの機材は技術的な進展が著しく早い製品であるため,実際に研究を実施する時期に合わせて導入することで,より性能が高い機材を用いて効率の高い研究を遂行することが可能である.
これらの残額と2年目,3年目の予算については最終年度終了までに計画的に執行し,研究を遂行する予定である.
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Research Products
(3 results)