2018 Fiscal Year Research-status Report
点過程理論による交通量変動メカニズムの記述とその交通制御への応用
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18K13846
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中西 航 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (70735456)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 点過程モデル / 車両到着頻度 / 対数線型モデル / 非定常分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の前半では、道路断面上に設置された複数の車両検知器で観測される一連の車両到着時刻に対して、自由度の高いモデリング手法を適用することにより、交通量変動そのものの記述を試みると同時に、その変動の原因がいつどこの検知器で観測されうるのかを明らかにすることを目的としている。本年度は、得られた大量データに対して、以下のモデル化を試みた。 (1)対数線型モデルを用いた車両到着頻度の記述。特に、a)高速道路の同一地点における走行車線・追越車線の同時到着のモデル化、b)a)を複数地点に拡張してより高次の相関を抽出する方法のモデル化を行った。 (2)点過程理論に基づいた非定常・非ポアソン型到着過程としての到着の記述。特に、車群が形成されている際に想定される到着頻度の急激な上昇かつ非ランダム(定期)性の記述を試みた。 なお、(1)(2)両者において、「車両到着」の定義として、従来の交通工学に対応するように、車両の先頭が到着した瞬間(流率に対応するもの)と、車両が検知器の下を占有している期間すべて(密度に対応するもの)の両者を試した。 これらから、それぞれのモデル化が得意とする交通状態の記述や検出について、一定の傾向をつかむことができた。具体的には、(1)a)のモデル化で流率に対応する記述を行った場合は、走行車線の到着頻度が上昇した際に同時到着の頻度も上昇する場合に渋滞が引き起こされること、密度に対応する記述を行った場合は同時到着の頻度が大きいときのみ渋滞しておりそれ以外の場合は渋滞しない傾向があることなどが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定のとおり、大量データの入手と整理を行った。また、それらデータに対して種々のモデル化を実行し、それらの推定結果の解釈も順調に行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、今後は初年度成果のさらなる解釈に基づいて種々の交通状態の記述に適したモデル化を特定していくとともに、複数の検知器の統計的な比較により渋滞発生などの交通状態変化を発見する方法へと繋げていく予定である。
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Causes of Carryover |
データ入手が段階的に進んだため、当初予定していたような記憶装置をまとめて発注することがなくなったこと、および学務との関連で学会への参加回数が当初予定よりも少なくなったことから次年度使用額が生じている。次年度はこれらに対応する形で、本年度に予定していたデータベースサーバの購入や学会参加・発表を追加的に行うことを計画している。
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Research Products
(2 results)