2018 Fiscal Year Research-status Report
信仰に関わる文化的景観の現代的意義:世界遺産保存管理を通じた計画論的研究
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18K13899
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川崎 修良 九州大学, 持続可能な社会のための決断科学センター, 講師 (60726884)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 文化的景観 / 世界遺産 / 景観の領域性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度においては、各種文献、行政文書をもとに、文化的景観に関する理論研究と、対象地域における計画、制度、地域システム等に関する文献調査を実施し、次の研究段階において実施する関係者インタビューで解明するための仮説構築に向けて整理を進めた。文献調査・仮説形成が十分に進んだ斎場御嶽については、インタビューを実施し、整備・保存管理対象の領域が決定する過程を明確にした。各対象地域についての実績は以下の通り。 [平泉]世界遺産コアゾーン、バッファゾーンの範囲にかかる自治体における各種行政計画・行政計画策定過程の会議録等の公文書を入手し、策定過程に置いてどのような会議が行われているか整理を進めた。 [斎場御嶽] 世界遺産申請及びその前段階に策定された整備計画(知念城跡・斎場御嶽及び周辺整備基本構想・基本計画 (1993 年)の策定プロセス及び、及び世界遺産登録後の文化政策の方面からの政策の影響等について、当時担当であった元行政官に対するヒアリングを実施し、整備・保存管理対象の領域の決定と、対象となったエリアの妥当性が検証されていく過程を明らかにした。 [バリ州] 世界遺産申請の経緯および、対象である棚田について分析を行う文献を入手し、研究を進めるにあたって課題となる仮説の抽出を進めた。 [平戸] 重要文化的景観申請の経緯と合意形成の過程について、各種行政計画・行政計画策定過程の会議録等の公文書を入手し、策定過程に置いてどのような会議が行われているか整理を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度後半から2019年度前半にかけて、文化的景観の領域性の定義と計画化における捨象のプロセスの検証を進めるため、文献調査とヒアリングを含めた現地調査を行うことを課題に設定したが、2018年度終了の時点で対象地域における文献の入手と整理が進んでおり、沖縄県南城市斎場御嶽については元行政官へのインタビューとステークホルダーの洗い出しが完了しており、現在研究発表に向けた取りまとめを進めている。他の地域についても、目下インタビューのための仮説構築を進めており、計画書の記した進捗通りに進展できていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度 [斎場御嶽] これまでの調査の成果から整備・保存管理対象の領域が決定する過程を取りまとめ、不足点についての追跡調査を行なった上で研究発表を行う。 [その他の対象] 入手した資料を元に、世界遺産申請時の議論について時系列的な整理を行い、行政官及びステークホルダーのインタビューを通して整備・保存管理対象の領域が決定する過程を明らかにする。 2020年度 上記研究成果を元に、地域の特徴別に計画の及ぼした影響と、今後の構成要素の継承に 向けた課題を調査・分析する。以上を通じ、信仰に関わる文化的景観を保存管理する現代的意義と、あるべき計画手法を探究した論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
研究成果の記録等に必要な文具代等について、今年度分は十分であったため次年度に繰り越した。金額としては大きなものではないため、次年度の研究遂行に必要となる消耗品の購入に使用する予定である。
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