2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K14195
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山内 光陽 関西学院大学, 理工学部, 助教 (20802226)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 量子ドット / 有機色素 / 超分子 / 自己集合 / 有機無機ハイブリッド |
Outline of Annual Research Achievements |
コロイド状半導体ナノ結晶は量子ドットと呼ばれ、単独で優れた発光・光電子特性を示し、その発光波長は粒径に依存するため発光色が容易に調節できるスマートマテリアルである。それらのデバイス性能は、量子ドットが最終的に形成する超分子集合構造に強く依存するため、材料レベルで量子ドットの特異な物性を最大限に発揮するためには、集合構造の制御は極めて重要である。 本研究では、“有機分子の自己集合を利用した量子ドットの配列制御” を基盤とし、これまでにない量子ドット超分子集合体の構築を目的とし実験を推進してきた。その結果、有機色素であるペリレンビスイミドを用いた系でCdSe/ZnSコアシェル型量子ドットの集合構造の構築に成功し、その集合過程を解明した(成果1)。この研究成果は論文として発表済みである。加えて、本研究に関するレビュー誌も発表した。 さらに、有機分子としてアゾベンゼンを導入することで、光応答性を示す量子ドット超分子集合体の構築に成功した(成果2)。この系では、量子ドット超分子集合体が形成されることでCdSe量子ドット間のエネルギー移動が観測され、その効率を光照射によって制御することに成功した。加えて、透過型電子顕微鏡により、この光照射による量子ドット配列構造の変化が明らかになり、アゾベンゼンの光異性化を利用することで量子ドット配列および非配列が制御可能であることを見出した。この研究成果は、近日中に学術誌に投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では、有機分子の自己集合を利用した量子ドット超分子集合体の形成とそれによる量子ドット間の相互作用の追求を計画していた。その結果、有機分子の自己集合を利用して量子ドットの配列構造の構築に成功し、量子ドット間のエネルギー移動を見出した。加えて、この系に光応答性を付与させることに成功した。現在、光によって制御可能な量子ドット超分子集合体の物性解明を推進しており、さらなる成果が期待できる。従って、研究の進捗度は良好であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、量子ドット超分子集合体をさらに調査し、集合構造に依存した発光・光電子特性を明らかにし、量子ドット単独では示すことのない物性を解明する。特に、量子ドットと有機色素間、並びに量子ドット間の電子移動・エネルギー移動を詳細に解析し、論文執筆を並行して行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、参加予定であった2件の国内学会が中止になった。そのため、それらの出張費として申請していた金額を2019年度に支出するのは困難であるため、2020年度に開催される予定の学会出張費等に充当したいため。
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