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2018 Fiscal Year Research-status Report

異種金属の協奏作用を活用した高活性な光酸素発生触媒の開発

Research Project

Project/Area Number 18K14246
Research InstitutionRikkyo University

Principal Investigator

中薗 孝志  立教大学, 理学部, 助教 (40802880)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2020-03-31
Keywords人工光合成 / 分子性触媒 / 光酸素発生 / 二核錯体
Outline of Annual Research Achievements

酸素発生反応は水の4電子酸化過程であり、その効率化は長年、人工光合成達成のボトルネックとされてきた。従って、その達成において、酸素生成反応を効率良く促進する触媒の研究が極めて重要である。研究代表者は、これまでコバルトポルフィリン錯体が高い活性を有する酸素発生触媒として機能することを報告した。さらに、これらが高活性な触媒として機能する一つの要因は、触媒反応中に、中心金属のコバルトに加え、配位子のポルフィリンの酸化還元反応を利用できる点であることを明らかにした。本課題では、配位子と二つの金属の酸化還元特性を利用した高活性な金属錯体触媒の開発を目指し、二重N-混乱ヘキサフィリンを配位子に持つコバルト二核錯体(Co2DNCH)に着目して研究を行った。二重N-混乱ヘキサフィリンは、それ自身が安定な酸化還元特性を有し、二つの金属原子を導入できることから、四電子酸化反応である酸素発生反応に対してさらに有利な構造となることが考えられる。本年度はCo2DNCHの触媒活性評価、反応機構の解明、触媒の耐久性評価を行った。
酸素発生触媒機能の評価は主に、光増感剤であるトリス(2,2’-ビピリジン)ルテニウム([RuII(bpy)3]2+)と犠牲酸化剤の過硫酸イオン(S2O82-)からなる光酸素発生系を用いて行った。その結果、Co2DNCHはコバルトポルフィリン錯体に比べてはるかに高い触媒活性を有することが分かった。さらに速度論的同位体効果、速度論的実験、分光学的測定を用いることで、反応機構を推定した。これらの結果は、さらに高活性な触媒を開発する知見となると期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度はコバルト二核錯体(Co2DNCH)を合成し、電気化学的および光化学的酸素発生触媒能を確認した。電気化学的手法を用いた酸素発生触媒能は水中でサイクリックボルタンメトリー(CV)の測定を行うことで評価した。結果、Co2DNCHは先行研究のコバルトポルフィリン錯体よりも約100 mV低い過電圧で酸素を発生させることが明らかとなった。また、光増感剤に[Ru(bpy)3]2+、犠牲酸化試薬にS2O82-を含む光酸素生成系を用い、その光科学的酸素発生触媒能に関して評価したところ、触媒回転頻度(TOF)はコバルトポルフィリン錯体と比較して非常に高い値を示した。これらの実験により、Co2DNCHは既存のコバルトポルフィリン錯体をはるかに上回る、きわめて高い触媒活性を有することが示された。また、酸素発生反応機構を分光学的手法および速度論的手法により検討したところ、触媒1分子から成る中間体を経て酸素が発生していることが明らかとなった。また、現在、異種金属二核錯体及び新規水溶性錯体の合成を行っている。以上から、おおむね計画通りに研究が進んでいる。

Strategy for Future Research Activity

今後はコバルトと鉄あるいは亜鉛などの異種金属二核錯体を合成し、光酸素発生反応における触媒活性の評価を行う。複数の異種金属錯体を合成することで、より詳細な二種の金属のそれぞれの役割を明らかとし、より詳細な反応機構を明らかとする。また、より詳細な反応機構を検討するためには有機溶媒を混合しない完全な水中での酸素発生反応を行う必要がある。従って、当初計画通り、新規水溶性錯体の合成を行う。新規水溶性錯体合成後、ラマン分光法を用いた酸素発生触媒反応の中間体検出、酸素発生反応をH2O、D2O中で行いH/D速度論的同位体効果の検討、及び酸素発生反応初速度の濃度依存性を測定し、反応機構を解明する。

Causes of Carryover

研究進捗状況から、当初は本年度に購入を予定していた300 Wキセノンランプ(ILC Technology CERMAX LX-300 Xe lamp)を次年度に購入することとした。したがって、次年度使用額が生じた。このキセノンランプおよび、その他の必要な各種光学フィルター等、光化学実験に必要な消耗品を購入する予定である。
また、光酸素発生の研究を遂行する際、ガス分析を行うために必要な高純度ガスボンベ、標準ガスボンベなどを定期的に購入する。さらに反応機構解析において必要な特殊設計のガラス器具、重水及びH2O-18Oを購入する予定である。また、その他合成に必要な試薬類も購入する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2019 2018

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] Photochemical Water Oxidation Reactions of Cobalt-Hexaphyrin and -Porphyrin Complexes2019

    • Author(s)
      3.Takashi Nakazono, Taiyo Nishimura, Masaki Yamada, Tohru Wada
    • Organizer
      日本化学会第99春季年会
  • [Presentation] Water Oxidation Reactions Catalyzed by Cobalt Porphyrins and The Derivatives2018

    • Author(s)
      Takashi Nakazono, Ken Sakai, Tohru Wada
    • Organizer
      International Conference on Coordination Chemistry 2018
  • [Presentation] Electro- and Photochemical Reactions of Cobalt-Porphyrin and -Hexaphyrin Complexes2018

    • Author(s)
      Takashi Nakazono, Taiyo Nishimura, Masaki Yamada, Tohru Wada
    • Organizer
      錯体化学会第68回討論会
  • [Presentation] Photo- and Electro-Catalytic Water Oxidation by Cobalt Porphyrins and The Derivatives2018

    • Author(s)
      Takashi Nakazono
    • Organizer
      ICCC2018 Post Conference in Fukuoka

URL: 

Published: 2019-12-27  

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