2019 Fiscal Year Research-status Report
Reducing Friction of Hydrogels toward a soft artificial cartilage
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18K14285
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
八島 慎太郎 九州大学, 理学研究院, 助教 (40768842)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ハイドロゲル / 滑り摩擦 / 潤滑 / 関節軟骨 / 表面パターニング / 摩耗 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハイドロゲルは柔らかく、水を多量に含む、といった特徴から生体代替組織への応用が期待される物質である。本研究では、ハイドロゲルの滑り摩擦と表面形状の関係を明らかにし、人工関節軟骨などへの生体代替組織に向けた低摩擦化手法を開発することを目的にしている。昨年度までには摩擦が表面凹みによって低減することを確認した。 今年度はまず、表面パターンを施したハイドロゲルについて、摩擦と同じ表面物性の一つである凝着-剥離に伴う仕事量を測定している。凝着-剥離の仕事は表面物性における重要な特性であることや、パターンによる滑り摩擦低減効果の起源を調べるために重要だと判断したためである。その結果、凹みのパターンをもつハイドロゲルでは滑り摩擦だけでなく剥離の仕事量も大きく減少することを明らかにした。また、本研究のメインターゲットは表面凹みの構造であるが、副次的な研究として凸の構造をもつゲルについても調べており、凸の表面構造を持つゲルでは凝着仕事が極めて小さいことを確認した。付着防止材向けの表面加工としても期待できる結果であると考えられる。 また、計画では、弾性率の異なるゲルについての摩擦低減効果について調べる予定であり、今年度は高弾性率のゲルを得るために主にDry-Anneal法に着手した。 結果として表面形状を維持したままゲルを濃縮し、弾性率を3倍程度に上昇させることができた。また、もともとは高弾性率化させたゲルに表面加工を施す手法を計画していたが、この手法ならば表面形状が残るので、そのような加工は不要であると考えられる。表面形状を後で加工する方法も併せて今後も検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
表面物性に関して凝着-剥離仕事を測定し、摩擦との関連性が見いだせたことなどで進捗があったが、高弾性率のゲルを作製することが予想以上に難度が高く、手法の検討に期間を要したため、摩擦評価がやや遅れていると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
高弾性率のゲルを得ることに成功したため、低弾性率ゲルとあわせて摩擦測定を行い、表面パターンの摩擦低減効果とゲル弾性率との関係について調査を進める。また、より生体環境に近い状況での影響を調べるために、潤滑液中に高分子等を添加した状態で滑り摩擦を測定し、生体組織代替素材としての有用性について評価を進める予定である。
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Causes of Carryover |
高弾性率ゲル鋳型の表面加工用と考えていた予算が主に残金として生じた。次年度にはこの表面加工費や生体高分子系の試薬用の経費、また、より高度にゲル表面を観察するための光学部品のための経費として使用する。
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Research Products
(2 results)