2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K14389
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
北岡 直樹 富山県立大学, 工学部, 助教 (20785547)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | タケ / 植物培養細胞 / 二次代謝産物 / 生合成 / 有用物質生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、タケ培養細胞に他の植物や微生物由来の外来遺伝子を導入すると共に、大量生産の妨げとなる代謝経路をシャットアウトした『高機能物質生産に特化した植物培養細胞』の創出を目指している。 【外来遺伝子導入株の作出】標的化合物であるvanillinへの反応を触媒するPseudomonas putida由来の4-hydroxycinnamoyl-CoA hydratase/lyase (PpHCHL)を導入したタケ培養細胞を作出した。選抜マーカー遺伝子に対応する抗生物質で形質転換体の選抜を行った後に、PpHCHLの導入をPCRにより確認した。作製した形質転換体の代謝物の解析を行ったところ、vanillinと4-hydroxybenzaldehydeの代謝物であるvanillic acid glucose esterと4-hydroxybenzoic acid glucose esterの蓄積を確認した。木化誘導条件でこれら化合物の蓄積が誘導された。懸濁培養後の生産量を確認したところ、培地1 Lあたり4-hydroxybenzoic acid glucose ester が1.7 g、vanillic acid glucose esterが0.17 gに達しており、極めて効率のよい生産系の確立に成功した。 【代謝経路をシャットアウトした植物培養細胞の作出】リグニン生合成経路に存在するcinnamoyl-CoA還元酵素を標的とし、CRISPR/Cas9システムを用いて同酵素遺伝子の破壊株作製を目指した。現在までに、ガイドRNAとCas9両方が導入された細胞株の作出に成功しているが、遺伝子変異株は得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外来遺伝子の導入株の作製については特に順調に進んでおり、PpHCHL導入株においてvanillin及び4-hydroxybenzoic acid関連化合物が高蓄積していることを明らかにした。これら結果については既に特許を出願するとともに、現在学術誌への投稿を目指し、論文を執筆している。
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Strategy for Future Research Activity |
1、外来遺伝子導入株の作出 バニラ(Vanilla planifolia)由来のバニリン合成酵素の導入することによりバニリンを生産するタケ培養細胞の作出を目指す。加えて、ポリマー原料としての利用が見込まれるビニルグアイアコール及びビニルフェノールを生産するタケ培養細胞の作出を目指し、微生物Bacillus amyloliqueciensとコケ植物Conocephalum japonicum由来のphenolic acid decarboxylaseを導入したタケ培養細胞の作出を目指す。
2、代謝経路をシャットアウトした植物培養細胞の作出 引き続き、CRISPR/Cas9を用いた遺伝子破壊株の作出を目指すと共に、RNAiによる遺伝子発現抑制株の作出を目指す。
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Causes of Carryover |
高額なUV検出器の購入を平成31年度に持ち越したため。 予定していたUV検出器を購入する。残りは、現在執筆中の論文の投稿経費に充てると共に、実験に必要な試薬、キット類など物品費として使用する。
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Research Products
(2 results)