2018 Fiscal Year Research-status Report
創薬を指向した補助刺激受容体CD28ファミリーとシグナル伝達分子の構造基盤解明
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18K14395
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
稲葉 理美 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 博士研究員 (70785493)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小角散乱 / シグナル伝達タンパク質 / X線結晶構造 / 溶液構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫系シグナル伝達に関わる分子認識機構を明らかにすることを目的に、補助刺激受容体であるCD28ファミリー・リン酸化ペプチドとそれらの細胞内領域に結合するSH2ドメイン(Grb2 SH2、Gads SH2、PI3K p85 nSH2およびcSH2)との複合体構造解析を進めた。手法としては主にX線結晶構造解析とX線小角散乱法(SAXS)を適用し、タンパク質の結晶化、回折実験、およびSAXSの測定条件検討を行った。複合体結晶については、1次・2次スクリーニングにより得られ、X線回折実験から構造決定に成功した。一方、SAXS測定については、一部のSH2で二量体を形成することや、通常の静的な測定ではX線ダメージが顕著に表れるため、ゲル濾過クロマトグラフィーを連結したSAXS測定(SEC-SAXS)を用いることとした。これにより、複合体についても純粋な系で測定を行うことを出来るようになった。移動相のBuffer条件や試料濃度、X線強度(照射時間)を検討し、測定条件を確立することができた。また、各種解析も進めてリガンドフリー状態についての溶液構造の詳細な特性も明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年次計画として、複合体の結晶構造解析およびSAXSによる溶液構造の特性を明らかにすることを目的に進めた。前者は、主に高品質タンパク質結晶成長プロジェクトを中心に行い、一部については良好な結晶を得る事ができた。後者の溶液散乱については、放射光を利用するにあたり測定条件を中心に検討し、フリー状態について確立することができた。また、低分解能モデル構築や結晶構造との比較を進め、一定の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に決定した測定条件に基づき、2年目は主として複合体の溶液構造解析を進める。さらに別の手法を利用し、溶液中の局所構造を解析することにより、SAXSで得られた溶液構造モデル構築のために重要なデータを取得する。これらに加え、X線結晶構造情報と組み合わせることで詳細な溶液構造の特性を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定の消耗品類(特に試薬)については、別予算が確保できたため、次年度以降のペプチド購入費に充てる予定である。また、国際会議での発表は2019年度に予定することになったため、当初使用する予定であった旅費は、2019年度に充てる予定である。
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