2023 Fiscal Year Annual Research Report
創薬を指向した補助刺激受容体CD28ファミリーとシグナル伝達分子の構造基盤解明
Project/Area Number |
18K14395
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲葉 理美 北海道大学, 先端生命科学研究院, 助教 (70785493)
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Project Period (FY) |
2021-11-01 – 2024-03-31
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Keywords | 免疫系シグナル伝達 / 分子間相互作用 / X線小角散乱 / 複合体構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、獲得免疫機構におけるT細胞の活性化に関与するシグナル伝達分子に着目し、受容体細胞内領域への分子認識機構を多角的に明らかにすることを目的に研究を行った。具体的には、補助刺激受容体であるCD28およびそのファミリー分子 (ICOS, CTLA-4) と、それら受容体細胞内領域のリン酸化チロシンモチーフに結合するアダプタータンパク質のSH2ドメイン (Grb2, Gads, PI3K p85) との分子間相互作用における知見獲得を目指した。それぞれのアダプタータンパク質のSH2度め員が認識するリン酸化チロシンモチーフは、Grb2とGadsで共通し、PI3K p85では異なっている。方法としては、CD28細胞内領域と各SH2ドメイン複合体について、X線小角散乱法を用いて溶液中での構造モデルを構築し、既存の結晶構造との比較を行った。また、異なった側面から溶液構造を評価するために、放射光源を利用した円二色性分散測定を行った。その結果、結晶構造ではそれぞれのSH2ドメインが類似した構造を示した一方で、認識モチーフの違いによって溶液構造が異なることが分かった。さらに、他の補助刺激受容体細胞内領域のリン酸化チロシンを含むペプチドとの複合体溶液構造も解析したところ、ペプチドの種類によらず類似した溶液構造を示すことが明らかとなった。 なお、本研究課題は海外における研究滞在等による研究中断措置を承認いただき、2019年10月から2022年6月まで研究課題の実施を中断し、その後再開した。
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