2019 Fiscal Year Research-status Report
縮減期の中山間地域での社会的分業に向けた地域資源管理に関するビジネスモデルの構築
Project/Area Number |
18K14531
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
東口 阿希子 岡山大学, 環境生命科学研究科, 特任助教 (90804188)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地域資源管理 / 中山間地域 / 縮減 / 社会的分業 / 限界集落 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は,岡山県久米南町の限界集落を事例に,社会縮減が進行した状況における地域資源管理の実態と将来意向について調査した。自治会長へのヒアリング調査から,高齢者率71.4%に及ぶ事例集落の社会構造と営農,組織活動の実態と,地域資源管理の変遷を把握した。結果はGIS(地理情報システム)を用いて,管理対象となる地域資源の分布や管理状況を可視化し,管理放棄の危険性に基づき地域資源を分類した。次に,集落の全戸を対象としたアンケート調査を実施し,地域資源管理への参加状況や,社会縮減に伴う選択的管理の導入に関する意向を明らかにした。その結果,林道等の利用頻度が低い地域資源については管理の重要性が低く評価され管理放棄の危険性が高いこと,行政より管理費用の支払われる道路の管理については社会縮減に伴い住民による管理から業者委託へと移行しやすいこと等が明らかとなった。また住民に代わる補完的人材による管理意向への影響要因を分析したところ,高齢等の理由で管理への参加が免除される住民が管理参加者よりも管理の委託費用の支払いに積極的な意向を持つことが明らかになった。さらに,これまでの2年間の事例調査に基づき,久米南町全域で実施予定の地域資源管理の外部委託に関するアンケート調査の設計,標本調査を実施するにあたっての対象抽出を進めた。 地域資源管理の受託に関する先進事例調査は,年度末の実施を予定していたが,covit-19の感染拡大リスクへの配慮が必要となったため,調査を延期せざるを得なくなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部予定していた調査の延期が避けられなかった内容はあるが,調査対象・項目等の調査設計は終えており,状況が許せば即座に調査実施に移行できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度はcovit-19の感染拡大リスクへの配慮のため,当初予定していたヒアリング調査の実施が困難である。調査内容の若干の修正は不可欠ではあるが,サンプル数を大幅に増やしたアンケート調査へと計画を変更することで対応する予定である。具体的には,地域指定郵便等を活用し,久米南町全体への模住民アンケートを実施し,仮想評価法やコンジョイント分析を活用し,地域資源管理の委託に対する支払意思額を明らかにする。受託側の各種団体・事業者に対するヒアリング調査は,covit-19の感染リスクが低下して以降に実施することとする。また,学会発表や学術雑誌への投稿も行い,研究成果の公表に努める。
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Causes of Carryover |
調査対象地域の一部を変更した結果,宿泊を伴う調査が不要となり旅費が削減した。また,令和元年度末に予定していた調査はcovit-19への対応で延期せざるを得なくなったため,旅費や調査補助に係る謝金等の費用は次年度に使用することと変更した。削減した予算については,令和2年度に実施する住民アンケート調査の規模拡大・郵送配布への切り替え,調査規模拡大に伴う調査補助者への支払増加のために使用する。
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