2022 Fiscal Year Research-status Report
縮減期の中山間地域での社会的分業に向けた地域資源管理に関するビジネスモデルの構築
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18K14531
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
東口 阿希子 岡山大学, 環境生命科学学域, 助教 (90804188)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 条件不利地域 / 水稲 / 借地選好 / 人的要因 / 水利慣行 |
Outline of Annual Research Achievements |
不整形で小規模な圃場が中心の条件不利地域において,小規模自作農家の離農により土地生産性・労働生産性の低い農地を集積する大規模水稲借地経営が見られるようになった。しかし,大規模農家の労働力限界は近く,将来的には請け負えなくなる農地が生じる恐れが強い。そこで,大規模水稲農家の農地請負意識に着目し,客観的な経済・地理的指標に主観的な人的指標を加え,請負継続農地の選好要因を明らかにした。岡山県内の2経営体を対象としたAHP法を用いた聞き取り調査と地理情報分析より,請負判断時の経営者の農地選好において,人的指標,経済的指標,地理的指標の順に重要度が高いことが分かった。特に,これまで条件不利地域において問題視された小区画や不整形といった地理的指標は,大規模集積時の請負継続判断において重視されず,水利慣行を中心とした人的要因が強く影響する水利の自由度が,農地選好の需要要素であると明らかになった。水利の自由度は利用権契約打ち切りの主要因となっており,請負筆数の多い大規模水稲農家にとっては受益範囲が広く取水ルールが厳格な水系の農地の管理負担は大きく,広域に及ぶ農地管理の最大障壁となっていた。さらに,水利条件が良く収量を高めやすいエリアは水利の自由度の高さゆえに作付けが後回しとなる傾向にあり,農地の生産性が経営体の収益につながらない現状が確認された。担い手不在農地の発生を防ぐためには,行政機関等が介入し水利調整を行い水管理体制の見直しを支援するなど人的要因の改善が不可欠と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染リスク拡大の影響で延期していた調査を順次実施したが,完了には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年までに実施した調査の未解析データを分析したうえで,追加調査を行い,成果の公表と研究のとりまとめを行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染リスク拡大の影響で延期していた調査を順次実施したが,完了には至らなかったため,旅費や調査補助に係る謝金,成果公表にかかる費用に残額が生じた。
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