2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K14602
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 俊哉 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員 (00803842)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 子宮 / キメラ / 細胞競合ニッチ / 異種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、異種母体を利用した個体作出システムの構築を目的とし、胚盤胞補完法を用いて子宮欠損ラット体内にマウス幹細胞由来子宮を作製し、そこにマウス胚を移植し、ラット母体内でのマウス胎子の発生を試みる。異種母体内で移植胚と同種の子宮を作製することができれば、異種母体を利用した個体作出システムの構築に大きく近づくと考えられる。また、本研究が進めば、産子作出に同種母体が必要なくなることから、個体の確保が困難な絶滅危惧種やすでに絶滅した種の近縁種を用いることによる“代理異種母出産”が可能となる。本年度は、前年度に開発した飛躍的なドナーキメリズムを上昇させる新規手法(細胞競合ニッチ法)をさらに改良することで、子宮特異的に成長因子受容体欠損を誘導する遺伝子改変マウスを作製した。具体的には、Wnta7遺伝子のプロモーター下でCREタンパク質を発現するマウスとIgf1遺伝子にloxp配列が挿入されたマウスを掛け合わせることで、両方の組み換え遺伝子を有したマウスを作製した。今後、本マウス胚にドナー細胞を移植することで、①ドナー細胞のキメリズムが子宮内で上昇するか、②ドナーキメリズムが上昇した場場、ドナー細胞由来子宮を誘導することが出来るかを検討する。また、これまで得られたデータをまとめ、論文発表(Nishimura et al., Cell Stem Cell. 2021)、学会発表(第20回再生医療学会総会 口頭発表)を行い、研究成果を社会に発信するとともに、得られた研究結果の米国特許申請を行うことで産業に結び付ける足掛かりを作った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、世界的なコロナウイルス感染症により施設の利用および試薬等の購入に制限がかかり、その結果、当初予定していた通りに研究を進めることが難しかった。しかしながら、細胞競合ニッチ法という新規の手法を応用することで子宮特異的にドナーキメリズムを上昇させる遺伝子組み換え動物を作製していることから、全体としてはやや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは既に作製した遺伝子組み換え動物由来の胚に同種(マウス)由来の雌型ドナー細胞を移植することで、ドナー細胞由来子宮内膜の作製を目指す。次に、ラット由来の雌型ドナー細胞を移植することでラット由来の子宮をマウス体内で誘導する。
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Causes of Carryover |
世界的なコロナウイルス感染症により、施設の利用及び試薬の購入等に制限が生じ、その結果、計画どおり研究を進めることが困難であったため、次年度使用額が生じた。 上記の問題により、本年度は研究を進めることは難しかったが、遺伝子組み換え動物の交配に関しては問題なく進めることが出来た。よって、次年度は本遺伝子組み換え動物を用いて、効率的に研究を進める予定である。
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