2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of representation of telencephalic neural ensemble during decision making in adult zebrafish
Project/Area Number |
18K14858
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鳥越 万紀夫 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (40635223)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 意思決定 / 仮想空間 / ゼブラフィッシュ / 終脳 / 神経アンサンブル / 能動的回避行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はゼブラフィッシュ成魚に対する仮想空間-2光子イメージングを用いることで、行動選択時の終脳の神経アンサンブル活動が意思決定にどのように寄与するのかを明らかにすることである。前年度までに色と嫌悪刺激を指標(赤:電気ショックなし、青:電気ショックあり)としたGO/NOGO課題を学習中の魚の終脳の神経細胞活動を観察・解析した。その結果、魚が学習によって複数の好ましい状態の予測(1.安全である赤色を見ること、2.青色にいる時に後ろに動く景色を見ること)を形成し、終脳において予測との誤差をそれぞれ表現している可能性を見出しその結果をbioRxivにおいて報告した。 最終年度は1のアンサンブルが真に予測誤差をコードしているのかを検証するため、GO課題のゴールの色を赤以外の色に変える実験を行なった。もしこのアンサンブルが予測誤差をコードしている場合は赤ではないゴールに到達してもその活動は下がらないことが予測される。しかし、このアンサンブルの活動は魚が赤ではないゴールに到達すると下がった。よってこのアンサンブルは予測誤差ではなく青に付加された負の価値を表現している可能性が示唆された。この可能性を検証するために色と電気ショックの組み合わせを逆転した条件を元の条件を学習した後に再学習させた。逆転した条件を学習後にこのアンサンブルの活動は下がった。以上の結果からこのアンサンブルはルール逆転前の条件における危険な青に付加された負の価値であることが示唆された。 また1と2の両方のアンサンブルをもつ魚と1のみの魚が観察された。面白いことに前者はゴールに到達するまで、止まることなくゴールに向かって泳ぐことが明らかになった。 以上よりゼブラフィッシュ成魚の終脳において認知した事象(色、景色の動き)に対し付加した価値を表現することでルールを形成し、ルールの組み合わせによって行動様式が異なることが明らかになった。
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