2019 Fiscal Year Research-status Report
革新的インドール合成法を基盤とした高難度多置換インドールアルカロイドの合成研究
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18K14862
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂田 樹理 東北大学, 薬学研究科, 助教 (20772700)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インドール / イソバゼリン / バゼリン / オキシム / ベンゾシクロブテノン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ベンゾシクロブテノンオキシムスルホナートの環拡大反応を利用したインドール合成法を基盤に、全置換ベンゼンや複雑な縮環構造など合成困難な高次構造を含むインドールアルカロイドを化学合成し、全合成という側面から創薬研究に取り組むことを目的としている。本年度は、これまでに達成した(+)-CC-1065の全合成の過程で新たに見出した2-アルキルチオインドール合成法を活用しピロロイミノキノン骨格を有する天然物、バゼリンA、イソバゼリンAおよびBの全合成に挑戦した。検討の結果、本インドール合成法とベンザインを利用した環化-官能基化反応との組み合わせることにより高度に多官能基化されたインドール中間体の迅速かつ効率的な合成法を確立した。また、全合成終盤におけるピロロイミノキノン骨格の構築法についても独自の方法論を開発した。すなわち、イソバゼリンBのピロロイミノキノン骨格構築ついてはブレンステッド酸存在下進行するレドックスニュートラルな脱クロロ化反応を見出し、全合成を達成した。また、バゼリンAおよびイソバゼリンAについては、マンガン酸化剤の種類に応じてピロロインドール中間体からオルトキノンおよびパラキノンへ選択的に変換できることを見出し、それぞれの全合成を達成した。本年度得られた知見の内、2-アルキルチオインドールの新規合成法については反応の一般化を試みると共に、アマニチン類など、より複雑な構造を有する高次構造天然物の全合成に応用する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り初年度最適化したインドール合成法を利用してバゼリンA、イソバゼリンAおよびBの全合成を達成した。また、今後、α-アマニチンの全合成に着手する上で基盤となる予備的知見も得ることができた。したがって、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これまでの研究期間で確立した2-アルキルチオインドールの合成法をさらに発展させ、より複雑な構造を有する天然物の全合成に着手する。具体的にはα-アマニチンの全合成に本手法を応用し効率的全合成を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度以降計画している研究では、より複雑かつ合成難易度の高い化合物の全合成研究を行うため、ガラス器具およびシリカゲル等、試薬等の大量購入が見込まれる。したがって本年度は、物品費を抑えて支出した。
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Research Products
(9 results)