2019 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis of a novel protein upregulated drastically in cardiomyocytes in response to ischemia reperfusion
Project/Area Number |
18K15014
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐々木 隼人 北里大学, 獣医学部, 助教 (20768048)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 虚血再灌流 / 再酸素化 / 心筋細胞 / 心臓 / コンディショニング |
Outline of Annual Research Achievements |
再灌流障害は出血やショック、虚血性心疾患、心血管の外科的手術、臓器移植などで認められる、臨床上、重大な合併症である。再酸素化により細胞障害が誘起される一方、障害に対する保護作用も同時に亢進している。申請者は虚血再灌流後の心臓および再酸素化後の心筋芽細胞株においてタンパク発現が劇的に増大している新規遺伝子を見出した。本研究では各種臓器に虚血再灌流処置を施し、本現象が心臓特異的であることを明らかにした。標的遺伝子のノックアウトマウスを作出して虚血再灌流実験を行い、その生理学的意義を検証したところ、ex vivoおよびin vivoの実験結果は一致して、ノックアウトマウスの梗塞率は対照群の野生型マウスと比較して有意に小さかった。一方、ノックアウトマウスは再灌流完了までに肺に血液が鬱滞して酸素濃度が低下する様子が野生型マウスより多く観察され、死亡する割合が有意に高かった。ノックアウトマウスが野生型マウスより死亡率が高い一方で梗塞率が小さかったのは、再灌流完了までに生存したノックアウトマウスの心臓で左心不全が生じて拍出量が低下し、十分に再灌流障害が誘起されなかった可能性が考えられる。すなわち、標的タンパクは虚血再灌流により生じる心機能の低下(不整脈等)を抑制していることが示唆された。心筋芽細胞株の再酸素化後のアポトーシス、酸化ストレスの割合は作出したノックアウト株と野生型株で違いはなかった。この結果は標的タンパクが心筋傷害に対して保護的に働いているのではなく、電気生理学的に心機能を保護していることを支持する。今後、虚血再灌流時の心電図測定やパッチクランプ法による再酸素化後の心筋細胞の活動電位測定等の更なる研究により、標的タンパクによる心臓保護作用の機序が明らかになることが期待される。
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