2018 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on the role of adenosine A2B receptor in visceral hypersensitivity
Project/Area Number |
18K15033
|
Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
浅野 帝太 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 講師 (20645519)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | アデノシン / A2B受容体 / 大腸内水分分泌 / 知覚過敏 / 過敏性腸症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
消化管において、アデノシンA2B受容体は腸管内水分分泌、蠕動運動、腸炎などの現象を調節しており、下痢、炎症性腸疾患などの発症に重要であることが多くの研究から示されている。最近、我々は過敏性腸症候群 (IBS)の動物モデルで、内臓知覚過敏に末梢のA2B受容体活性化が寄与することを発見した。本報告書では、A2B受容体が大腸粘膜における知覚神経伝達物質の放出を制御するのかについて報告する。 これまでの研究からA2B受容体が下痢(腸管内水分分泌亢進)と腹痛(知覚過敏)の両方に関わっていることが予想されていた。一方で、アデノシン(Ado)が腸管内水分分泌を促すことはすでに示唆されていた。これらのことから、Adoにより水分分泌が亢進した条件下で、知覚過敏も同時に誘導されていることが考えられた。さらに、大腸粘膜で活性化したA2B受容体が他の神経伝達物質(NGFやセロトニン等)の放出を促進し、これら物質も知覚過敏や下痢の誘発に寄与している可能性があった。そこで、AdoがA2B受容体を介して腸管内水分分泌亢進を誘引することをマウスで確認し、この条件下で知覚伝達に関わるメディエーター量や受容体発現量に変化がないか調べることにした。マウス腸管結紮ループ法を用いて、A2B受容体依存の水分分泌促進の評価を行った。結紮により作製した腸管ループにAdoを注入し30分後の大腸内水分量を測定した結果、Adoの用量依存的に管腔内水分量が増加することを確認した。そして、この現象はA2B受容体欠損マウスでは観察されなかった。加えて、A2B受容体選択的アゴニストでも水分分泌亢進がみられた。以上の結果から、腸管内AdoはA2B受容体を介して大腸水分量を増加させることが分かった。続いてこの条件下での、大腸粘膜の知覚伝達物質量や受容体発現量の解析を進めていたが、事情により本研究計画を中止することになった。
|