2021 Fiscal Year Research-status Report
Notchシグナルによる小腸上皮間リンパ球の成熟・TCRレパトア調節機構の解明
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18K15191
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
石舟 智恵子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (80632645)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Notchシグナル / 腸管上皮間リンパ球 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、10月より研究を再開し、主に今後の解析のための予備的な検討を行った。 E8I-Cre依存的なRbpj遺伝子欠損マウス(Rbpj-8 KO)において、TCRγδ型でThy1陰性のCD8ααIELが減少する機序を明らかにする目的でプロテオーム解析、シングルセルATAC (Assay for Transposase Accessible Chromatin)解析を行うために、小腸のTCRγδCD8ααIELを充分な数だけ分離できる条件を整え、マウスの交配を進めた。さらに、後者の実験に向けて核抽出の条件検討を行った。2つの解析のうちプロテオーム解析については、共同研究にて本実験まで進んだ。コントロールマウスとE8I-Cre依存的なRbpj遺伝子欠損マウス(Rbpj-8 KO)のTCRγδ型CD8ααIELでタンパク発現の変化を比較し(n=10)、Rbpj-8 KOで発現が上昇・低下するいくつかのタンパク質を見出した。他方で、IELは腸管上皮細胞と密接に関連しているため、コントロールマウスとRbpj-8 KOマウス由来の小腸上皮細胞の遺伝子発現の変化をマイクロアレイ解析で比較し、変化のあるいくつかの候補を得て、主要な分子の発現確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年主流になりつつある比較的新しい解析法{TMT(tandem mass tag)を用いたプロテオーム解析、シングルセルATAC解析、微小環境マルチプレックスspatial解析システム(Phenocycler)}について、プロテオーム解析は予備検討から本実験まで進むことができ、Rbpj-8 KOて認められたIELの変化を裏付けるいくつかの候補因子が得られた。また、シングルセルATAC解析、Phenocyclerについては、これから本実験のための準備が整ったため、次年度は新たな視点でRbpj-8 KOに認められるTCRγδ型でThy1陰性のCD8ααIELが減少する機序についてアプローチする目途が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
①プロテオーム解析で発現変化が得られた分子より、Rbpj-8 KOにおいてTCRγδ型でThy1陰性のCD8ααIELが減少する原因となりうる分化に関連する転写因子、あるいは機能的な欠如に関連する分子の候補を絞り、その機序あるいはIELの機能への影響について調べる。候補遺伝子の同定にはIPA解析・GO解析等を用いる。 ②微小環境マルチプレックスspatial解析システム(Phenocycler)を用い、従来法では不可能であった多分子でのIELサブセットの同定を行うことで、Rbpj-8 KOマウスでのIELの局在の変化について検討する。また、他の免疫細胞との相互作用の変化について解析する。 ③現在のところ、TCRγδ型のCD8ααIELにはThy1陽性と陰性の集団に分けられることはわかっているが、さらにシングルセルATAC解析を行うことで、TCRγδ型のCD8ααIELのサブセット分類や変化を調べるとともに、転写因子やヒストン修飾の変化について詳しく調べる。 ④前年度の計画していた実験を引き続き行う。
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