2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K15355
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
雨宮 薫 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 研究員 (80638536)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 運動学習 / 可塑性 / 手指運動 / 他動運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、訓練による運動習熟が時を経てどのように保存され、適応されていくのかを検討することにある。ピアノなどの手指の細かい運動学習を過去に継続していたものの現在は続けていない過去学習者、訓練を過去に経験したことのない非学習者を幅広く対象とし、新たな手指運動学習を行うことにより、運動学習効果の相違を検討した。 また、運動学習は自分自身の手で行う自主的な運動のみではなく、機械によって動かす他動運動を取り入れることにより、自分自身の学習だけでは到達できない学習領域を手に入れられるかを検討した。 現在の手指の習熟度合い、学習度合いは、手指運動の正確かつ早い動きがどれだけできるかとして検討したところ、学習が始まる前段階から、過去の学習者は非学習者よりも著しく手指動作が早いことがわかった。これは数年以上のブランク期間を経ても早く正確な手指動作を行うことができる能力を保持していたことがうかがえる。また学習効果に関しては、過去学習者はパフォーマンスの変化が大きく見られる傾向があるものの、学習前のパフォーマンスがすでに早いことから、非学習者と同様の軸で検討すべきではないかと議論を進めている。 一方、自主的な運動や受動運動についての検討では、受動運動を自主運動と交互に含めることにより、疲労度を少なく保つとともに、自主的運動よりも学習効果が飛躍させる効果が見られることがわかり、効率的かつ自身の運動だけでは到達しえない領域への向上への可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は学習を行動学習に限定することにより、どのような学習がもっとも変容を検討できるかを探っている段階である。しかしこの段階をふむからこそ、のちに行う脳機能画像実験に活かせると考えられる。Preliminaryな実験結果から、条件に他動運動などを実験に組み込むことにより、運動学習の新たな可能性を示したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
過去学習者の経験は個人差が大きく、現在の能力についても個人差が大きい。このことを行動学習の変容として検討するとともに、現在保持している能力がどのような神経機序特性によるものなのかをさらに検討していく。
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Causes of Carryover |
物品費用として計上していたPC代、その他計測器として購入予定だったものが、所属先の物品にて代替可能となり、また人件費として計上していた実験に関わる経費も所属内予算2より代替可能となったため。全てを次年度に回し、より幅広い実験を行うことを目的とする。
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