2020 Fiscal Year Research-status Report
細胞外マトリックス制御による脳梗塞後の内在性神経再生能の促進
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18K15372
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
藤岡 哲平 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (50805885)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞接着因子 / 新生ニューロン / 脳梗塞 / 内在性神経再生 / バイオマテリアル |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞後には、脳室下帯に存在する神経幹細胞から多数の新生ニューロンが産生され、傷害部へと向かって移動し、その一部が成熟ニューロンとなる。この内在する神経再生の機序を、新生ニューロンに発現する接着因子に着目し、明らかにすることで、脳梗塞再生治療の基礎的知見となることを目指している。 神経系特異的β1インテグリン遺伝子改変マウスを用いて、その表現型を免疫組織化学染色法、およびタイムラプス撮影を用いた培養実験を行い解析した。既報告にある表現型を再現するとともに、新たな表現型を明らかにした。当初は、この遺伝子改変マウスを培養実験等に用いる予定であったが、遺伝子改変マウスは生物学的脆弱性があること、予測された表現型と異なっていたこと、実験を継続するためには当初より長期の時間を要する見込みであることから、以後の実験には遺伝子改変マウスを用いないこととした。 生体内で神経再生を促進しうるかを明らかにすべく、マウス脳梗塞(中大脳動脈閉塞)モデルの脳内に接着因子シグナルを含むバイオマテリアルを投与し、新生ニューロンの挙動に影響しうるかを検討している。バイオマテリアルの投与にあたり、生体により低侵襲となるよう設計された自己集合型ペプチドを用いている。また組織を解析する際にペプチドを標識する必要があるが、交差反応することなく選択的にペプチドを標識ができる特殊な標識法を用いている。これらの実験手法・解析手法を確立し、解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
インテグリン以外の細胞接着分子の検討を主に行っているため、当初予定していたβ1インテグリン遺伝子改変マウスを用いた実験は現時点では行っていない。新生ニューロンの挙動に影響を与える候補となる細胞接着分子について、引き続き解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
脳梗塞モデルマウスを用いた実験により、細胞接着因子の投与が再生促進につながるかを免疫組織化学染色により明らかにするとともに、行動実験を行い、脳梗塞による後遺症を軽減しうるかを検討する。さらに電子顕微鏡および培養実験を行い、細胞間シグナルが新生ニューロンの挙動に与える影響を解析する。
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Causes of Carryover |
培養実験の手法、動物実験の見直しのため、実験に必要な物品の購入を見合わせたため。差額は令和3年度に試薬・抗体、組織培養、動物実験に関わる諸費用、学会・研究会出張費用、論文投稿費用として使用する予定である。
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