2018 Fiscal Year Research-status Report
PFAPA症候群患児の扁桃組織における自然免疫関連遺伝子の発現解析
Project/Area Number |
18K15695
|
Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
原 真理子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー・感染研究部, リサーチアソシエイト (30744552)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | PFAPA症候群 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
PFAPA症候群は小児に発症する最も頻度の高い周期性発熱疾患であり、本疾患の発熱には自然免疫応答による炎症反応が関与していると推測されている。また、口蓋扁桃摘出術によって高率に症状の寛解が得られること、さらに、発熱と同時に扁桃炎を随伴する症例が多いことから、扁桃組織が本疾患の発熱や病態形成に重要な役割を担っていると考えられる。本研究では、本疾患の扁桃組織における自然免疫関連遺伝子の発現パターンをmicroarrayを用いて解析することにより、どのような自然免疫系の分子経路が活性化されているかを解析することを目的としている。 本研究を開始するにあたり、施設内の倫理員会の承認を取得し、サンプルの収集や保存の体制整備を行った。また、扁桃組織からのRNA抽出やmicroarrayなどの手技や方法を確立した。 予備試験として、PFAPA症候群8症例の口蓋扁桃よりRNAを抽出し、microarrayを行った。自然免疫関連遺伝子として、toll-like receptors (TLRs), nod-like receptors (NLRs), RIG-like receptors (RLRs), C-type lectin receptors (CLRs), DNA sensorsの発現に着目した。これらの遺伝子群の発現パターンを解析すると、2群に分かれる傾向にあることが示された。このことから、本疾患における発熱機序には、2通りの分子経路がある可能性が示唆された。本研究では、サンプルサイズを大きくし、key roleを担う具体的な遺伝子(群)やその発現細胞、活性化されているpathwayついて解析することを目的としている。現在検体を追加し、全15症例の検体を収集した。各検体についてRNAを抽出し、microarrayを実施した。また、予備試験においてphenotypeにも違いを認めており、発熱の分子経路と臨床病型との関連についての検討も行うため、各患者の臨床情報の収集も行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年間10例の検体収集を予定しており、現在15症例を収集した。また、各検体ついて、RNA抽出とmicroarrayの実施まで行っており、データ解析の準備はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
Microarrayを実施した15例について、自然免疫関連遺伝子に着目した発現解析を行う。予備試験と同様に、2通りの発現パターンが示さるか否かを検討する。また、各群において、発現レベルの増加している遺伝子、細胞組成、活性化されているpathwayなどについて、統計解析やpathway解析を行う。さらに、upstream regulatorsやcanonical pathwayなどについても検討し、各群で活性化されている自然免疫系の分子経路を明らかにする。また、各群の臨床病型の違いについても比較検討を行い、endotypeとphenotypeとの関連についても考察を行う。
|
Causes of Carryover |
予定していた学会参加を次年へ変更したため、次年使用額が生じました。 次年の学会参加のための旅費として使用する予定です。
|